主成分分析法とニューラルネットワークを用いた河川の上流・中流・下流を示す水質パラメータの抽出
− 東京多摩川の水質データを用いて −

神部 順子a, 福田 朋子b, c, 長嶋 雲兵d*, 青山 智夫e

a大東文化大学外国語学部, 〒175-8571 板橋区高島平1-9-1
b日本女子大学家政学部生活芸術学科, 〒112-8681文京区目白台2-8-1
c(株)ベストシステムズ, 〒305-0035つくば市松代4丁目15-2-1-204
d産業技術総合研究所先端情報計算センター, 〒305-8561 つくば市東1-1-1
e宮崎大学工学部, 〒889-2192宮崎市学園木花台西1-1
*e-mail:

(Received: February 28, 2001; Accepted for publication: October 10, 2001; Published on Web: December 7, 2001)

  河川の上流・中流・下流を示す水質パラメータを抽出するために、東京都環境局の「公共用水域および地下水の水質測定結果」(1997年から1999年)[4]に掲載の多摩川の17地点の水質に関するデータを主成分分析と新たにJavaを用いてニューラルネットワークシミュレータNecoに実装された3層パーセプトロン型ニューラルネットワークの入力パラメータの偏微分係数解析[2, 3]を用いて解析した。
  主成分分析の結果から、上流・中流・下流の分類は第一主成分と第二主成分の主成分得点を組み合わせることで可能であることがわかった。しかしながら、主成分分析では、12種類のパラメータのうち上流・中流・下流の分類に大きな寄与をするパラメータの抽出はできなかった。偏微分係数解析からはCl-, COND, NH4-Nなどの微係数が大きいことが判った。これらの変数は主に上流・中流と下流を分類するものである。また、これらに続く絶対値の大きさを持つT-P, NO3-N, PO4-Pは、中流と下流および上流を分ける変数となっており、上流を分類するパラメータは、pHとDOであることがわかった。
  水質汚染という観点からみると、多摩川では上流から中流域の水質の変化に比べて中流から下流域の水質変化の方が緩やかであることがわかった。このことにより多摩川の水質保全には、中流域での汚染原因を取り除くことが重要であることが示唆された。

キーワード: Water Contamination, Principal Component Analysis, Differential Coefficients Analysis of Input Parameter for Neural Network, Upper Stream, Middle Stream, Lower Stream


Abstract in English

Text in Japanese

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