演 題  WINDOWS95ヘルプファイルを活用したマルチメディア化学教材の開発
発表者
(所属)
 ○岩田 雅弘(埼玉県立春日部高等学校)、 吉田 俊久(埼玉大学教育学部)
連絡先  〒338-8570 埼玉県浦和市下大久保255 埼玉大学教育学部 理科教育講座
      TEL 048-858-3225  FAX 048-858-3227
キーワード  WINDOWS95、ヘルプファイル、マルチメディア、教材作成、化学教材
開発意図
適用分野
期待効果
特徴など
 手軽に作成でき、操作が簡単で、さらに改造も簡単にできるコンピュータソフトウェア教材という観点から、マルチメディア化学教材を作成した。WINDOWS95以上が稼動するコンピュータ上で動作させることができる。動画などのデータを含め、本教材ソフトをフリーソフトウェアとして頒布することで、それぞれの学校の実状に応じて自由に改造して使用できる。
環 境 適応機種名 WINDOWS 95, 98, NT4.0が稼働するすべての機種
OS 名 WINDOWS 95, 98, NT4.0
ソース言語 MS-WORDで作成したリッチテキストファイル形式
周辺機器 MOドライブもしくはCD−ROMドライブ
流通形態
(右のいずれ
かに○をつけ
てください)
 ・化学ソフトウェア学会の無償利用
  ソフトとする
 ○独自に配布する
 ・ソフトハウス,出版社等から市販
 ・ソフトの頒布は行わない
 ・その他     ・未定
具体的方法

 データの容量が大きいので、CD-ROMやMO等による頒布を実費負担で行うことを検討中である。

1. はじめに
 学校の教員によるコンピュータソフトウェア教材の開発には、Basicをはじめ、PascalやCといったプログラミング言語が多く使われてきた。しかし、多くのプログラミング言語は習得するための敷居が高く、かつそれらの言語の使用による教材の作成には多くの時間がかかるため、教師にとっては大きな負担となる。一方、市販されている化学系のソフトウェア教材は数が少なく、実際の授業で活用すると不満がのこるものが多い。そのうえ市販教材は、その仕様に不満があっても、改造することはできない。そこで、教材作成が簡単にでき、ソフトウェアの操作も、改造も簡単にできる教材開発の方法について考えた。その方法として、現在標準となっているWindowsパソコンのヘルプファイルシステム(WinHelp)を活用する方法と、インターネット上の手法であるHTML(Hyper Text Markup Language)とWebブラウザを活用する方法を考えた。ヘルプファイルを用いた教材作成の方法については、日本科学教育学会研究会研究報告1)で、また、HTMLとWebブラウザを用いた教材については、同学会年会2)にて報告した。今回は、1)の研究をさらに発展させ実用になるマルチメディア化学教材を目指して作成したソフトウェアをいくつか紹介する。

2. ヘルプファイル作成の概要
 ヘルプファイルを作成するのに必要なツールは、(i)MS-WORD(ワープロソフト)、(ii)ヘルプワークショップ(HCW.EXE)、(iii)ホットスポットエディタ(SHED.EXE)である。(i)は市販、(ii)と(iii)はVisual BasicやDelphiなどの言語製品に付属している。また、ヘルプオーサリングキット3)を購入しても手に入れることができる。まず、MS-WORDで表示するデータを記述し、リッチテキストファイル形式で保存する。それをヘルプワークショップでコンパイルすればヘルプファイルができる。取り込んだ画像や動画を表示するには、それらを表示させるコマンドとファイル名を記述するだけでよい。データはMS-WORDをつかって簡単に改造できる。なお、ホットスポットエディタは、画像の一部分をホットスポット(他のページにジャンプしたりする機能をもつ場所)にするために使われる。

3. 開発したマルチメディア化学教材
 開発した教材は次の(1)〜(4)の各ソフトウェアである。(1)元素データベースは、原子量、電子構造、原子半径、イオン化エネルギー、密度、融点、沸点、同位体等の元素情報および単体の写真、単体の性質などの動画を同時に瞬時に表示するソフトウェアである(図1)。(2)化学資料データベースは、化合物の融点、沸点、酸の解離定数等の数値データ、反応系統図といった化学データを瞬時に表示するものである。化学便覧や実際に学校で使用されている資料集などを参考に授業で活用できそうなものを中心に作成した。(3)実験器具データベースは、高校化学で必要と思われる実験装置(例えば蒸留装置)および一つ一つの実験器具について、その絵や写真、その使用方法等を瞬時に表示するものである。個々の実験器具については器具名を五十音順に整列した索引を選択する方法と、1つのウインドウ画面に全器具のミニ画像を表示して、そのミニ画像をマウスで選択する方法(図2)を選ぶことができる。(4)化学実験ソフトウェアは、学校で行われている実験の操作方法、化学反応、実験結果等を写真や動画で解説する。つまり実験の模擬体験ができるソフトウェアである(図3)。実験は教科書等を参考にして、標準的な実験を選択し作成した。実験の事前学習や実験後の内容確認、および、未実験者への学習補助として活用できる。


4.参考文献
1)岩田雅弘、日本科学教育学会研究会研究報告Vol.12 No4p57、1998.
2)岩田雅弘、斉藤飛鳥、吉田俊久、日本科学教育学会第22回年会論文集p345、1998.
3)Microsoft Corporation編/アスキーテークライト訳、Windows95ヘルプオーサリングキット、アスキー出版局、1996
4)藤本壱著、Windows95ヘルプファイル作成技法、サイエンス社、1996.
5)日本化学会編、化学便覧改訂第3版、1984.
6)数研出版編集部編、フォトサイエンス化学図録、1998.
7)相原惇一他著、ビジュアルリファレンス化学総合資料、実教出版、1998.