2007年05月24日 表彰

2007年度

日本コンピュータ化学会  表  彰
SCCJ Award of the Year 2007

[ 学会賞 | 功労賞(特別功労賞) | 吉田賞(論文賞) ]


日本コンピュータ化学会 2007年度 功労賞

受賞者:

時田 澄男  氏

埼玉大学 大学院理工学研究科 教授

受賞理由:

  時田澄男氏は,1965 年横浜国立大学工学部応用化学科を卒業され,東京大学大学院博士課程工学研究科合成化学専門課程を1970 年に修了され,工学博士となられました.同年埼玉大学助手に採用されました.1971 年同講師,1976 年同助教授を経て,1992 年同教授となられました.
  時田氏の研究内容は計算機化学分野の多岐にわたります.特に芳香族多環化合物の電子状態に関して精力的な研究をなさっており,新規な芳香族化合物の合成手法に関して,新経路開拓,収率向上,計算化学の有用性等の視点から研究されてこられました.また,有機電界発光素子材料,有機光導電材料,ホトクロミック材料,ガンマ線検知材料としての応用や,量子化学に基づく理論計算で予測し,分子設計に役立てる手法についても研究しておいでです.その結果は多数の原著論文の他に多くの著書も世に出され,斯界の研究者から高く評価されております.
  本功労賞は,本会前身の化学ソフトウェア学会と併せ,時田澄男氏が本会に長年果たして来られた多大な功績に対するものであります.
  時田澄男氏は,「化学PC 研究会」の研究討論会に第1 回から参加しその後2 回の年会を埼玉大学で行うなど,化学分野でのコンピュータ利用の学術交流の場の作成に協力しました.「化学PC 研究会」は,10 年間の活動の後,1992 年に「化学ソフトウェア学会」という学術団体に格上げし,日本学術会議に登録することとなりました.このとき,論文誌 ”Journal of Chemical Software” の冊子体が創刊され,その後,電子出版との併用となりました.電子出版は全文の無償公開とするもので,現在の学術情報の流れの最先端を行くものであります.
  「化学ソフトウェア学会」の教育面での成果も徐々に認められ,日本学術会議では「科学教育研究連絡委員会」に属し,日本化学会に代わって,わが国の化学教育の推進活動を行ってきました.このように時田澄男氏は,当初から参加した研究討論会と氏自身が立ち上げた学会組織の活動を通して,わが国の情報化学と情報化学教育の発展に多大の貢献を果たされて来ました. しかし,計算化学をめぐる国内外の情勢の変化,類似形態の学協会の増加等,諸般の事情から,2002 年1月1日に,日本プログラム交換機構と合併し,日本コンピュータ化学会を発足することになりました.時田澄男氏は,この合併劇の原動力としても精力的に働かれたのです.
  時田澄男氏の本学会への貢献として特筆すべきは,化学ソフトウェア学会発足と同時に氏自身が発刊を企画した論文誌 (J. Chem. Software) ならびにその後の日本コンピュータ化学会論文誌 (J. Comput. Chem. Jpn.) の編集です.化学ソフトウェア学会論文誌ならびに日本コンピュータ化学会論文誌はいちはやくWeb により公開され,世界に広く開かれた論文誌として高く評価され,日本コンピュータ化学会の地位向上に大きな貢献をしています.
  日本コンピュータ化学会は,ここに時田澄男氏を本会の功労賞の受賞者とすることに決定致しました.

(文責:会長 細矢治夫)

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日本コンピュータ化学会 2007年度 吉田賞(論文賞)

受賞論文:

"分子設計のための統合システムToMoCo の開発", 

荒川 正幹, 船津 公人, 

J. Comput. Chem. Jpn., Vol. 5, No. 2, 119-128 (2006).

1)  東京大学 大学院工学系研究科

受賞理由:

  著者が開発を進めてきたプログラムToMoCo (The total system for molecular designs by the computer chemistry laboratory) は,種々のケモインフォマティックス,ケモメトリックスのプログラムをひとつにまとめた分子設計のための統合システムであり,現在までにCoMFA 法を中心とした定量的構造活性相関解析(QSAR)に関する手法が実装されている.
  本論文ではToMoCo に実装されている手法のうち,分子構造重ね合わせ機能,新規薬物候補構造自動創出機能,CoMFA 領域選択機能について説明し,これらの手法を用いてCOX-2 阻害剤の解析を行った結果を示している.
  このような分子設計のための統合システムは,計算機化学の発展に欠かすことのできないシステムであり,本プログラムの開発は質の高い内容を持つばかりではなく,計算機化学の発展に大きな希望を持たれていた故吉田 弘先生のご意志に添うものであるので,ここに一層の発展を期待してこれを吉田賞論文として表彰する.

(文責:会長 細矢治夫)

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