高速多重極法と専用計算機の併用による分子動力学計算高速化のための二つのアルゴリズム

網崎 孝志a*, 豊田 新次郎b, 宮川 博夫c, 北村 一泰c

a鳥取大学医学部保健学科, 〒683-8503 鳥取県米子市西町86
b富士ゼロックス株式会社 NBC, 〒259-0157 神奈川県足柄上郡中井町境430
c大正製薬株式会社, 〒330-8530 埼玉県さいたま市吉野町1-403

(Received: April 8, 2002; Accepted for publication: May 23, 2002; Published on Web: July 5, 2002)

  タンパク質などの生体分子系の分子動力学シミュレーションにおいては, 静電相互作用などの遠距離相互作用の求値に莫大な計算時間が費される. 我々は, 最近, この計算を高速化するための専用計算機 MD-Engine II を開発した. この計算機は, 従来のものとは異なり, 二体相互作用計算のための高速アルゴリズムとの併用を前提に設計されている. そのような併用を効率よく行なうためには, 専用計算機側のハードウェアのみならず, それを制御するためのホスト計算機上のソフトウェアにおいても特別な機構が必要である. 本論文では, そのような目的で開発した二つのアルゴリズムについて報告する. ひとつは, セルリスト管理法についてのものであり, 効率のよい併用を実現するための基礎となるアルゴリズムである. そこでは, ホスト-専用計算機間の通信を低減するために, 三次元巡回バッファを利用した. もうひとつは, 専用計算機上のプロセッサへのタスク割り当てに関するもので, 再帰二分法に基づく静的負荷分散アルゴリズムを開発した. 本論文では, これらのアルゴリズムを紹介し, また, その有効性を検証するために行なった数値実験の結果を報告する.

キーワード: 分子動力学法, 専用計算機, 高速多重極法, 並列アルゴリズム, 負荷分散


Abstract in English

Text in Japanese

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