2,6-ジメトキシフェノールの最適構造に与える溶媒効果
−MOPAC2000によるシミュレーション−

重松 幹二a*, 小林 孝行b, 葭谷 耕三a, 棚橋 光彦a

a岐阜大学農学部, 〒501-1193岐阜市柳戸1-1
b岐阜大学大学院連合農学研究科, 〒501-1193岐阜市柳戸1-1

(Received: May 24, 2002; Accepted for publication: November 15, 2002; Published on Web: December 6, 2002)

  植物細胞壁中に存在する高分子であるリグニンの重合反応は,溶媒環境の影響を大きく受ける。その反応過程をシミュレートするための基礎データを得るため,前報では針葉樹リグニンの基本骨格であるグアイアコールのコンフォメーションに対する溶媒効果を報告した[12]。本報では,広葉樹リグニンに存在するもうひとつの基本骨格である2,6-ジメトキシフェノール(DMP)の溶媒中におけるコンフォメーションについて,MOPAC2000を用いて解析した。その結果,フェノール性水酸基が一方のメトキシル基酸素に配向する気相中での最適構造から,溶媒の比誘電率の上昇に伴って両方のメトキシル基の中間に位置する構造に転移した(Figures 2, 4)。この挙動は前報で報告したグアイアコールと同様に,極性溶媒の相互作用による水酸基とメトキシル基酸素間の分子内水素結合の解裂によるものと思われる。DMPの水酸基とメトキシル基の回転性は,グアイアコールと比較して高かった。また,分子内水素結合が高い気相中よりもむしろ,それが低い水中での方が回転性は低かった(Figure 3)。これらの結果から,DMPの2つのメトキシル基と水酸基間の分子内水素結合に対して,極性溶媒が複雑な影響を与えていると推察される。

キーワード: 2,6-ジメトキシフェノール, 最適構造, 溶媒効果, 水素結合, メトキシル基, フェノール性水酸基


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