電荷平衡法へのatom typeの導入と新たなパラメータの算出

小田 彰史, 広野 修一


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1 緒言

タンパク質や高分子などの巨大分子の構造最適化や動的性質に大きな力を発揮する分子力学法 (MM)、分子動力学法 (MD) でのエネルギーの計算において、非結合相互作用の寄与の計算は非常に重要である。特に計算機による創薬研究の主要な手法の一つであるタンパク質-リガンド複合体の結合自由エネルギー計算などにおいては、高い精度でそれらの相互作用を見積もる必要がある。非結合相互作用には大きく分けてvan der Waals力(分散力)や静電相互作用などがあるが、後者の計算においては各原子間の静電相互作用を計算しなければならない。そこで、分子全体の電荷を各原子上に割り当て、各原子の持つ電荷を適切に計算することが必要となる。
原子電荷の計算法としては量子化学計算によって得られた静電ポテンシャルに基づいた算出法 [1 - 6]や結合原子同士の電気陰性度に基づいた方法 [7, 8]などがこれまでに提唱されてきた。量子化学計算に基づいて算出された原子電荷は、AMBER [9 - 11]などのMM法、MD法計算において推奨されており、分子の多極子モーメントの値なども再現可能な原子電荷である。しかし、量子化学計算による方法は計算機的に高コストであるため、特定の配座に対する電荷のみで全ての配座における電荷を代表しなければならず、配座の変化に伴って電荷を再計算することは計算資源的に不可能である。また電気陰性度に基づいた方法は迅速に計算できるものの、各原子同士の直接の結合のみに基づいているため、Gasteigerらによる電荷 [7]では配座が変化しても電荷が変化せず、Choらによる電荷 [8]でも結合原子間の距離の変化にしか対応しない。分子力学、分子動力学計算で最も興味のある配座変化は結合周りの二面角の変化であるので、これらの電荷では不十分である。そこで、配座の変化に伴って適切に電荷を変化させることができ、なおかつ分子力学、分子動力学計算の各ステップごとに迅速に電荷を再計算できる新たな手法が必要となる。
このような要求から、RappeとGoddardによって電荷平衡法(QEq)による電荷算出法が提唱された [12]。この手法は電気陰性度、イオン化ポテンシャル、電子親和力などを用いて電荷を計算する手法であり、計算式中の二中心クーロン積分項が原子間距離によって変化することから配座の変化に伴って電荷を変化させることが可能となっている。また、計算機的にも連立方程式を解くだけで電荷が算出できるため、量子化学計算による電荷などに比較して非常に迅速な計算が可能である。しかし、Rappeらの手法による二中心クーロン積分の計算において原子間距離が近い場合には適切な値が計算できないという報告があり [12, 13]、この問題を解決するための方法として、二中心クーロン積分計算に半経験的分子軌道法で使用される経験的な取り扱いを導入することが提唱されている [13, 14]。これによって数値的に妥当で、かつ高速な二中心クーロン積分の計算が可能になっている。しかし、Rappeらの手法やその改良法において、電荷を計算する際に用いられるパラメータは原子の種類によって決定されており、その原子の置かれている環境については全く考慮されていない。例えば窒素についてはアミノ窒素やアミド窒素などに対してすべて同じパラメータを用いるため、ニトロメタンなどの分子に対して適切な電荷を与えることができない [13]。これらの事実は、原子をその置かれた環境によって区別し、別のパラメータを導入する必要性を示唆している。そこで本研究では、二中心クーロン積分計算に大野-Klopman式 [15, 16]を用いたBakowiesらによるQEq/PD法 [13]を元に、分子内の各原子に対して原子の種類だけではなく分子内での環境に応じたatom typeに分けて扱う方法について提唱する。同時に、それぞれのatom typeに対応するパラメータについても算出する。

2 計算

2. 1 QEq法

QEq法では、エネルギーをまず

のように一中心項と二中心項に分け、さらに一中心項を電荷に関する関数として

と展開する。ここで、Mulliken定義の原子の電気陰性度

と、イオン化ポテンシャルと電子親和力の差

を用いることで一中心項は

と表される。また、二中心項は単純なクーロン相互作用として

とすると、エネルギーは

となる。ここで、(3)式と同様に、分子中での原子の電気陰性度を求めると

となり、



より、連立方程式

が得られ、これを解くことで原子電荷が得られる。ここで

であり、

である。
これら行列要素の計算には電気陰性度と一中心、二中心のクーロン積分が不可欠である。本研究では、今回導入したatom typeに属する原子以外の水素、炭素、窒素、酸素原子の電気陰性度と一中心クーロン積分として、Bakowiesらによる修正されたQEq/PD法のパラメータ[13]を使用した。また、原子IJによる二中心クーロン積分としては以下に示す大野-Klopman式 [15, 16]によって求める。

ここでJII, JJJはそれぞれ原子I, Jの一中心クーロン積分を、RIJは二原子間の距離を示す。

2. 2 パラメータ化

本研究ではBakowiesらの用いた原子種に加えてatom typeの概念を導入し、それぞれに電気陰性度と一中心クーロン積分のパラメータを与えることによって原子電荷を求めた。これらのパラメータとしては実験値を用いることも可能であるが、例えば原子の状態での電気陰性度と分子中における様々な環境下での原子の電気陰性度では異なると考えられるため、量子化学計算によって得られた電荷を元にしてこれらのパラメータを決定する。具体的には、これらのパラメータを用いてQEq法計算を行った結果得られた原子電荷が、基底関数として6-31G**を使用した制限ab initio Hartree-Fock法による静電ポテンシャルを元にした電荷(以下HF-ESP) [1]に近くなるように最小二乗法によってパラメータの最適化を行った。計算に使用した化合物をTable 1に示す。これらの化合物の構造は、基底関数として6-31G**を用いた制限ab initio Hartree-Fock (RHF)法によって構造最適化を行って決定した。これらの分子中の原子に与えるatom typeとしてはカルボン酸イオンの炭素(Cco2)、ピロール環に代表される非局在化した孤立電子対を持つ窒素を含んだ芳香族五員環中の窒素 (pyrroleN)、アンモニウムイオンの中心窒素 (Nium)、ニトロ基の窒素(Nno2)、フラン環をはじめとする酸素を含んだ芳香族五員環における非局在化した孤立電子対を持つ酸素(furanO)、ハロゲンと結合していない三価のリン(P)、五価のリン(P5)、ハロゲンと結合した三価のリン(Phal)、二価の硫黄(S)、六価の硫黄(S6)、チオフェン環に代表される硫黄を含んだ芳香族五員環中の非局在化した非共有電子対を持つ硫黄(thiopheneS)、塩素(Cl)、臭素(Br)の13種類を導入した。これらのatom typeに属する原子を持つ化合物をそれぞれTable 2に示した。これらのatom typeについては、Bakowiesらによってパラメータが決定されていない原子(リン、硫黄、ハロゲン)やQEq/PD法では正しく電荷を割り当てることのできなかった分子に特徴的な原子(Nno2)[13]、我々の以前の研究で従来のパラメータでは正しく電荷を割り当てることができないと判明した分子中で非局在化した孤立電子対を持つ原子(pyrroleN, furanO, thiopheneS)[17]、生体分子において重要なイオンにおける中心的な原子(Cco2, Nium)を選んだ。また、比較のため中野らによる西本-又賀式および大野-Klopman式を用いたMQEq法[6]による電荷(それぞれMQEq (NM), MQEq (OK)と略す)についても求め、さらに中性分子についてはArgusLab 3.0 [18]を用いて求めたQEq電荷を、リン、硫黄、塩素、臭素を含まない化合物についてはatom typeを導入する以前のQEq/PD法による電荷を求めた。また、双極子モーメントの実験値は文献 [19, 20]から得た。

Table 1. Compounds for parameterization in this study. Numbers of unneutral compounds, whose QEq charges can not be calculated by ArgusLab, are described by italic letter, and the underlined compounds contain atoms other than H, C, N and O.
No.compoundNo.compoundNo.compound
11,1,1-trichloroethane52dimethylphosphinothious acid103p-bromochlorobenzene
21,1,4,4-tetramethylpiperazine-1,4-diium53dithienylethanedione104p-bromonitrobenzene
31,1-dichloro-cyclopropane54ethane-1,2-disulfonic acid105p-chlorobenzoic acid ion
41,1-dichloro-ethylene55ethane-1,2-disulfonic acid ion106p-chloronitrobenzene
51,2,5-thiadiazole56ethanesulfonic acid107phenylphosphonic dichloride
61,2-dimethyltriazan-1-ium57ethanesulfonic acid ion108phenylphosphonous dibromide
71,3,4-thiadiazole58formic acid ion109phenylphosphonous dichloride
81-bromo-2-chloro-ethane59fumaric acid ion110phosphane imide
91-bromo-propane60furan111phosphane oxide
101-chloro-propane61furazan112phosphane sulfide
111H-indazole62furfural113phosphenic acid
122,2-dimethyltriazan-2-ium63furfuryl alcohol114phosphenous acid
132-bromo-2-methyl-propane64furoic acid115phosphine
142-chloro-2-methyl-propane65furoic acid ion116phosphorane
153-chloro-propyne66hexamethyldiazane-1,2-diium117phosphoric acid
164H-1,2,4-triazole67hydrogen sulfide118phosphoric trichloride
177H-purine68imidazole119phosphoronitridic dichloride
18acetic acid ion69indole120phosphorothioic trichloride
19acrylic acid ion70isobenzofuran121phosphorous acid
20ammonium ion71isoindole122phosphorous oxybromide
21aziridinium ion72isooxazole123phosphorous oxychloride
22benzenesulfonamide73isothiazole124phosphorous tribromide
23benzo[b]thiophene74lactic acid ion125phosphorous trichloride
24benzo[c]thiophene75maleic acid ion126picric acid
25benzofuran76methanedisulfonic acid127p-nitrobenzoic acid ion
26benzoic acid ion77methanedisulfonic acid ion128p-nitrotoluene
27betaine78methanesulfonamide129proline ion
28bromoacetyl chloride79methanesulfonic acid130propanic acid ion
29bromo-benzene80methanesulfonic acid ion131propynoic acid ion
30bromochloromethane81methanethiol132pyrazole
31bromo-ethane82methyl thiocyanate133pyrrole
32bromo-ethene83methyl (phenyl) phosphane134succinic acid ion
33bromomethane84methyl-ammonium135sulfone
34chloro phenylthio phosphine85methylene-ammonium136taurine
35chlorobenzene86methylene-phosphane137taurine ion
36chlorocyclohexane87methylphenyl sulfone138tetrahydro-thiophene 1,1-dioxide
37chlorocyclopentane88methylphosphine139tetramethylammonium
38chlorocyclopropane89methylthiirane140thenoic acid
39chloroethane90minaline141thenoic acid ion
40chloroethene91minaline ion142thenoin
41chloroethyne92N,N,N-trimethylanilinium143thiazole
42chloromethane93nitrobenzene144thietane
43choline94nitroethene145thiirane
44cis-1,2-dichloro-ethylene95nitroethylene146thiophene
45cyanophosphoric acid96nitroglycerin147thioxo-methanone
46cysteine97nitroglycol148trichloromethane
47dibromomethane98nitromethane149trichloronitromethane
48dichloromethane99nitrooxymethane150triethylphosphine
49diethyl sulfone100oxalic acid ion151trimethylammonium
50dimethyl sulfide101oxazole152trimethylphosphine
51dimethyl sulfone102p-bromobenzoic acid ion153ypperite

Table 2. Compounds for parameterization of each atom type. The meanings of the italics and the underlinings are the same as in Table 1.
atom typecompound
Cco218, 19, 26, 27, 58, 59, 65, 74, 75, 91, 100, 102, 105, 127, 129, 130, 131, 134, 141
pyrroleN11, 16, 17, 68, 69, 71, 90, 91, 132, 133
Nium2, 6, 12, 20, 21, 27, 43, 66, 84, 85, 92, 129, 137, 139, 151
Nno293, 94, 95, 96, 97, 98, 99, 104, 106, 126, 127, 128, 149
furanO25, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 70, 72, 101
P83, 86, 88, 114, 115, 121, 150, 152
P545, 107, 110, 111, 112, 113, 116, 117, 118, 119, 120
Phal34, 108, 109, 122, 123, 124, 125
S34, 46, 50, 52, 67, 81, 82, 89, 112, 135, 144, 145, 147, 153
S622, 49, 51, 54, 55, 56, 57, 76, 77, 78, 79, 80, 87, 136, 137, 138
thiopheneS5, 7, 23, 24, 53, 73, 140, 141, 142, 143, 146
Cl1, 3, 4, 8, 10, 14, 15, 28, 30, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 44, 48, 103, 105, 106, 107, 109, 118, 119, 120, 123, 125, 148, 149, 153
Br8, 9, 13, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 47, 102, 103, 104, 108, 122, 124

ab initio HF/6-31G**法による構造最適化、HF-ESP電荷の計算にはGAMESS USを使用した [21]。また、原子電荷による双極子モーメントの計算にはSYBYL 6.8を使用した [22]。これらの計算はIRIX release 6.5をOSとするSGI社のOctaneで実行した。

3 結果および考察

本研究で得られたパラメータをTable 3に示す。また、これらのパラメータを用いたQEq法によって得られた電荷を、HF-ESP電荷と比較した結果をFigure 1に示す。ここで比較のため、MQEq (NM) 法、MQEq (OK) 法、QEq法、従来のQEq/PD法のそれぞれについても図示した。また、各手法によって得られた原子電荷のHF-ESP電荷に対するRMSDと相関係数についてもTable 4に示した。図、表ともに、本研究で得られたパラメータを用いたQEq/PD法とMQEq (NM)、MQEq (OK) 法については全153化合物、QEq法については120化合物、従来のQEq/PD法については55化合物についての結果となっている。これらの結果から、新たに得られたパラメータを用いたQEq/PD法では、RMSD、相関係数ともに最もHF-ESP電荷の値を再現していることがわかる。また、その他の手法の中ではMQEq (OK) 法がHF-ESP電荷に近い値を与えるが、一方でMQEq (NM) 法はHF-ESP電荷と比較して絶対値の小さい原子電荷を算出しており、HF-ESP電荷と最も異なる値を与えた。さらにMQEq (NM)法は元のQEq法よりも劣る結果を与えていることから、HF-ESP電荷を再現するための手法としてはMQEq (NM) 法は不適切である可能性が示唆される。
また、MQEq (OK) 法とQEq/PD法はともに二中心積分に大野-Klopman式[15, 16]を用いている手法であるが、今回計算した化合物に対してはMQEq (OK) 法のほうがよりHF-ESP電荷に近い電荷を与えている。これは、QEq/PD法のパラメータを決定する際に [13]、pyrroleやfuran、ニトロ化合物などを考慮していないためではないかと考えられる。このように、パラメータ化の際に考慮されていない化合物群について計算する場合には、Rappeらによるパラメータ [12]のほうが汎用性があることがわかる。従って、新たな化合物群について精度良く電荷を求めるためには、本研究で行ったようなパラメータ化を行うことがより望ましいと考えられる。

Table 3. New atomic parameters for QEq method.
atom typeCco2pyrroleNNiumNno2furanOPP5
cI0/eV4.111915.702945.407594.998167.365145.840813.41158
JII/eV11.3488212.3435811.2429211.1481921.155839.6810110.18107

atom typePhalSS6thiopheneSClBr
cI0/eV4.956465.330593.914503.682765.131005.00760
JII/eV5.838564.832449.8467121.490726.7371610.33114


Figure 1. Comparison between atomic charges calculated by QEq and HF-ESP methods. The HF-ESP charges are shown in the horizontal axis and the QEq charges are in the vertical axis.

Table 4. RMSD and correlation between QEq and HF-ESP charges.
new parameterMQEq (NM)MQEq (OK)QEqQEq/PD
RMSD0.1120.2820.2310.2570.255
correlation0.9560.7000.8090.6730.770

次に、各atom typeを持つ化合物群(Table 2のそれぞれのグループ)に対して、それぞれの手法が与えた原子電荷の値とHF-ESP電荷とのRMSDおよび相関係数を求めた。その結果をTable 5Figure 2に示す。RMSD、相関係数ともに、本研究で決定したパラメータを用いたQEq/PD法がすべての化合物群において最もHF-ESP電荷をよく再現していた。特にP5やS6のグループに属する化合物に対しては、従来の手法では4種類すべてでHF-ESP電荷と大きく異なる電荷しか得られていない(RMSDが0.3以上)のに対して、本研究で決定したパラメータを用いた場合は他の化合物と同程度のRMSD、相関係数を持つ電荷が得られている。これは、五価のリンと六価の硫黄に対するatom typeの導入が不可欠であることを示唆している。また、ハロゲンやニトロ化合物についても同様のことが言える。
Table 6Figure 3に、実験的に双極子モーメントが得られている化合物に対して、それぞれの手法で求めた原子電荷を持つときの分子の双極子モーメントの実験値に対するRMSDおよび相関係数について記した。化合物数はQEq/PD法では8化合物、それ以外の手法では49化合物に対する結果について示している。また、Table 7Figure 4に各atom typeのグループごとに双極子モーメントの実験値と計算値のRMSDについて、比較を行ったグループに関してのみ記した。硫黄、リン、ハロゲンのパラメータがないためにデータの少ない従来のQEq/PD法を除いて、今回得られたパラメータを用いたQEq/PD法が最もよく実際の双極子モーメントを再現している。MQEq (NM)、MQEq (OK)、QEq法によって得られた双極子モーメントはすべて実験値に比べて大きな値になる傾向があり、さらに実験値との相関係数、RMSDともに非常に悪い値となっているため、これらの手法は双極子モーメントの計算に対しては不適切であることが示唆されている。また、各atom typeグループごとに化合物を分類した場合の結果から、三価のリンや硫黄(二価、六価ともに)を含んだ化合物の双極子モーメントを求める際には従来の手法でも比較的妥当な値が得られるものの、ニトロ化合物やチオフェン、ハロゲン化物などに対してはRappeらのパラメータでは限界があることがわかる。特に、MQEq (NM) 法とMQEq (OK) 法 (パラメータは同じだが、二中心積分の算出式が異なる)で類似した傾向を示していることは、双極子モーメントの算出については二中心積分の計算法よりもパラメータのほうが重要であることを示唆している。

Table 5. RMSD and correlations between QEq and HF-ESP charges for each compound group. Correlation coefficients are in parentheses.
new parameterMQEq (NM)MQEq (OK)QEqQEq/PD
Cco20.158 (0.968)0.385 (0.885)0.195 (0.949)0.276 (0.841)0.267 (0.920)
pyrroleN0.143 (0.919)0.236 (0.823)0.206 (0.809)0.189 (0.822)0.255 (0.751)
Nium0.103 (0.951)0.243 (0.743)0.180 (0.861)0.291 (0.736)0.244 (0.723)
Nno20.102 (0.970)0.331 (0.666)0.250 (0.806)0.300 (0.710)0.363 (0.556)
furanO0.116 (0.925)0.197 (0.751)0.205 (0.795)0.177 (0.772)0.166 (0.831)
P0.091 (0.926)0.116 (0.911)0.172 (0.880)0.136 (0.848)- (-)
P50.118 (0.972)0.352 (0.760)0.379 (0.791)0.335 (0.752)- (-)
Phal0.085 (0.892)0.135 (0.763)0.230 (0.775)0.172 (0.791)- (-)
S0.121 (0.900)0.178 (0.780)0.162 (0.857)0.141 (0.860)- (-)
S60.095 (0.985)0.460 (0.640)0.309 (0.862)0.422 (0.608)- (-)
thiopheneS0.123 (0.911)0.218 (0.673)0.214 (0.717)0.196 (0.698)- (-)
Cl0.107 (0.893)0.213 (0.536)0.275 (0.621)0.239 (0.553)- (-)
Br0.127 (0.878)0.214 (0.572)0.229 (0.679)0.210 (0.606)- (-)


Figure 2. RMSD and correlations between QEq methods and HF-ESP.

Table 6. RMSD and correlations between experimental and calculated dipole moment.
new parameterMQEq (NM)MQEq (OK)QEqQEq/PD
RMSD0.8532.6593.1382.7291.370
correlation0.7370.3720.2730.3020.859


Figure 3. Correlation between calculated and experimental dipole moments. The experimental dipole moments are shown in the horizontal axis and those calculated by QEq methods are in the vertical axis.

Table 7. RMSD between experimental and calculated dipole moment.
new parameterMQEq (NM)MQEq (OK)QEqQEq/PD
pyrroleN1.7641.5271.6891.6031.392
Nno21.1862.5032.5771.9381.568
furanO0.0531.0471.1281.0740.805
P0.7410.2530.6070.184-
S0.9010.7631.3411.138-
S61.1520.7290.6810.639-
thiopheneS0.6602.0412.2382.180-
Cl0.4523.7134.3593.802-
Br1.0352.8573.5193.055-


Figure 4. RMSD between calculated and experimental dipole moments.

4 まとめ

本研究では、QEq法にatom typeの概念を導入し、さまざまな化合物に対して妥当な原子電荷を算出する方法について提案した。その結果、従来のQEq法ではHF-ESP電荷と比較して妥当な電荷の得られなかったニトロ化合物やハロゲン化物、リンや硫黄を含んだ化合物についても、ab initio 量子化学計算で得られた原子電荷に近い値を得ることができるようになった。QEq法は計算コストを要しない手法であるため、本研究で得られたパラメータを用いることによって迅速かつ正確な原子電荷計算が可能になるのではないかと期待できる。これにより、MM計算による構造最適化やMDシミュレーションの際に、配座変化に対応して高速に原子電荷が計算できる。特に、タンパク質とリガンドの結合に関する自由エネルギー計算などにMDシミュレーションの結果を用いる場合、静電相互作用がMD計算によって得られたトラジェクトリに多大な影響を与えるため、様々な配座に対する精密なエネルギー計算が必要となる。従来は計算機資源の問題によって単一の配座での原子電荷を用いざるを得なかったが、本研究で得られた結果を用いることによって静電相互作用をより精密に計算することが可能となり、精度の向上が期待できる。さらには、数多くのリガンドの様々な配座についてエネルギーを計算する必要があるヴァーチャルスクリーニングなど、大量の化合物を迅速に取り扱う必要のある創薬研究、材料研究においても非常に有用な手法となりうる。

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