水素結合錯体における二次的相互作用の寄与:
フッ酸二量体、三量体によるモデル研究

川原 俊一, 内丸 忠文*

独立行政法人産業技術総合研究所, 〒305-8565 茨城県つくば市東1-1 つくば中央第5 事業所

(Received: July 8, 2003; Accepted for publication: November 6, 2003; Published on Web: March 1, 2004)

  複数の水素結合形成時、隣り合った水素結合部位間に働く二次的相互作用をフッ酸二量体、三量体をモデルとして用い、ab initio 分子軌道法および密度汎関数法により考察した。二つの水素結合サイト間の二次的相互作用を考えた場合、水素結合の方向が揃っているDD-AA 型錯体(Figure 1 I)で形成される、水素結合供与体(D)-受容体(A)型の二次的相互作用により、水素結合錯体の安定性は25-35%増加する。一方、水素結合の方向が揃っていないDA-AD 型錯体(Figure 1 II)で形成される、二種類の二次的相互作用の内、D-D型二次的相互作用の影響は他の二次的相互作用よりも小さく、5-15%増加する。D-D 型二次的相互作用で水素結合錯体の安定性が増加するというのはJorgensen らによるモデルの説明と一致しないが、これは、本文Figure 5 に示す三次的相互作用の影響と考えられる。一方、A-A型二次的相互作用により水素結合錯体の安定性は10-20%減少する(本文Table 3 参照)。
  上記のモデルによる結果を基にformamide の4つ(水素結合供与部位、水素結合受容部位ともに2つずつ)の水素結合部位の水素結合能の違いをほぼ説明する事ができた。(本文Table 4 参照)。

キーワード: 非経験的分子軌道法, 密度汎関数法, 水素結合, 二次的相互作用, フッ酸


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