オリゴスティッキネスによる染色体均質化現象の発見

斉藤 あゆむ, 西垣 功一*

埼玉大学工学部機能材料工学科, 〒338-8570 埼玉県さいたま市桜区下大久保255

(Received: May 25, 2004; Accepted for publication: October 5, 2004; Published on Web: November 19, 2004)

  ゲノムDNAの塩基配列情報が明らかになるにつれて、ゲノムが進化的にどのように形成されてきたのかという興味深い問題への挑戦が始まっている。本研究はこのテーマにオリゴスティッキネス解析を用いて取組んだものであり、これまで他の方法で示唆されてきた染色体の組換え現象を全く新しい観点からはじめて定量性をもって明らかにしたものである。オリゴスティッキネス分析はゲノム配列に対するオリゴヌクレオチド配列の類似性検索の一種でコンピュータによる膨大な計算を前提にしている。今回、ゲノムが複数染色体で構成されている生物を代表し酵母、線虫およびヒトの染色体について調べたところ同一生物内の染色体間ではこれらすべての生物種においてオリゴスティッキネスのパターンが酷似することを発見した(Figure 4)。さらに興味深いことにはオリゴヌクレオチド配列が相補的関係にある場合のオリゴスティッキネスも高い相関を示すことを見出した(Figure 5)。これらの現象を合理的に解釈するものとして、核内染色体間に頻繁な組換えがあったことと、その結果として染色体均質化現象が起きたと考えられた。このことは、現存するゲノムDNAが一般に高頻度な組換え現象を経て形成されたものであることを示し、ゲノム進化のプロセスを考える上で重要な事実となる。

キーワード: ゲノム配列解析, 核酸熱力学, 染色体進化, ネゲントロピー, 組換え


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