Heyd-Scuseria-Ernzerhof遮蔽クーロンハイブリッド汎関数を用いた周期境界条件(PBC)計算:アナターゼ型およびルチル型TiO2の電子構造

中井 浩巳a, b*, Jochen HEYDb, Gustavo E. SCUSERIAb

a早稲田大学理工学部化学科, 〒169-8555 東京都新宿区大久保3-4-1
bRice University, Department of Chemistry, Houston, Texas 77005-1892, USA

(Received: July 27, 2005; Accepted for publication: September 1, 2005; Published on Web: December 28, 2005)

  Heyd-Scuseria-Ernzerhof遮蔽クーロンハイブリッド汎関数(HSE03)を用いた周期境界条件(PBC)計算により、アナターゼ型およびルチル型二酸化チタンTiO2の電子構造を検討した。比較のため、局所密度近似(LDA)、一般化密度勾配近似(GGA)、そして従来のハイブリッド汎関数を用いた検討も行った。PBC計算では、Hartree-Fock (HF)交換項の計算がボトルネックとなるが、従来のハイブリッド汎関数に比べHSE03は近距離での打ち切りが可能であることが確かめられた。凝集エネルギーは、LDA以外の汎関数でまずまず実験値を再現することが示された。バンドギャップに関しては、よく知られているように、LDAやGGAでは40 %程度過小評価した。この過小評価は、ハイブリッド汎関数を用いることでかなり改善された。特に、HSE03では絶対誤差が0.3 eV以下となった。HSE03による構造パラメータは、LDAとGGAのほぼ中間的な値となり、実験値に最も近いことが示された。体積膨張率に関して、HSE03の結果はGGAよりも大きく、LDAと近い値を与えることがわかった。本研究により、HSE03はPBC計算のコストを抑えると同時に、通常のハイブリッド汎関数と同等あるいはそれ以上の計算精度を与えることが確かめられた。

キーワード: 遮蔽クーロンハイブリッド汎関数, 周期境界条件計算, 密度汎関数理論, 二酸化チタン, アナターゼ, ルチル, バンドギャップ, 凝集エネルギー, 状態密度, 体積膨張率


Abstract in English

Text in Japanese

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