Bis(4-methoxyphenyl)methano[60]fullerene 2付加体trans-1及びe異性体の計算化学的物性予測と実測評価

樋田 竜男, 征矢 梢, 内田 勝美, 石井 忠浩, 矢島 博文


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1 緒言

様々な付加基と付加パターンの考えられるフラーレン多付加体には、高い対称性に由来する機能性や[1]、3次元的な構造制御高分子としてのナノストラクチャへの応用[2]の期待があるが、多くの誘導体の中から特定の構造を得ることは困難である。その解決策としてテザーやテンプレートが利用されているが[3, 4]、より多くの付加基を任意のレイアウトで導入しようとした場合、構造発展図に基づく探索[5]も重要と思われる。例えば対称性の高い幾つかの高付加体を得ようとしたとき、その前駆体には成り得ない低付加体がある。具体的にはTh対称の6付加体(Figure 1 の1,8,13,18,21,28に付加した構造)を目的としたとき、e異性体(Figure 1 の1,8に付加した構造)またはtrans-1異性体(Figure 1 の1,28に付加した構造)以外の2付加体はその前駆体に成り得ないことが構造発展図から読み取ることが出来る。逆にこれらの2付加体を単離し、出発物質として双方から誘導可能な6付加体が得られたならば、それが目標の構造ということが出来る。このように構造発展図はそれ自体が構造推定手段となるが、その為には付加数の確実な特定方法が保障されている必要があり、且つ事前にいくつかの構造が特定されていなくてはならない。厳密には結晶解析やNMRが必要だが、より簡便で迅速な手段として収量や吸収スペクトルからの構造予測も欠かせない。
我々は既にbis(4-methoxyphenyl)methano[60]- fullereneの1付加体単離に成功している[6]。しかし結晶解析とMALDI-TOFの結果には矛盾点が見つかり、付加数特定の確実な保障が危ぶまれている。今回はこれの2付加体のうちe異性体及び、trans-1異性体の合成と単離を行い、付加数特定の保障を得ることを目的とする。同時に収量や吸収スペクトルの予測も行い、その為に今回は一般的なフラーレン多付加体のモデリングツールをまず先に開発する。

2 理論的予測

合成に先立ち予め理論計算により光化学的な物性その他を予測する。さてフラーレン付加体の化学計算はこれまで様々に行われてきたが、通常それらの初期構造は手作業または独自の専用ツールにより用意されてきた。今回は広く汎用的なモデリングツールを開発し、これを用いて目的の2付加体等を構築し計算を進める。

2. 1 モデリングツール

フラーレンC60の反応サイトはFigure 1の通し番号で示された30箇所の二重結合とし、付加基は1付加体がC2対称であるとしたとき、その誘導体の構造は30ビットの2進数で区別可能である。すなわちn番目の二重結合に付加している場合、n桁目を1とした。これを構造IDとして、この論文では冗長を避ける目的で0xに続ける8桁の16進数で表現する[5]。例えば、Figure 1の1,8,21に付加した3付加体の構造IDは2進数で書くと
00 0000 0001 0000 0000 0000 1000 0001
となり、これを16進数であらわすと0x0010 0081となる。こうして定義された構造IDの示す付加位置に官能基を配置し、目的の多付加体の座標を自動的に出力するツールを作成した。


Figure 1. Numbering system of hex-hex double bond on C60 in this work.

本ツールの核心はStructureクラスである。開発環境はMicrosoft Windows XP、C++言語(Microsoft Visual C++ 6.0)である。ユーザーはmain関数内でStructureクラスの実体を必要なだけ作り、処理を記述し、コンパイルして実行することが出来る。
主なメンバ関数はDAT(char *sid), PDB(char *sid), GJF(char *sid)であり、いずれもsidで指定された8桁の16進数からなる構造IDに対応する分子の座標をそれぞれdat(MOPAC入力ファイル)、pdb (Brookheaven PDBファイル[7])、gjf(Gaussian入力ファイル)としてCartesian座標により出力することが出来る。この時付加される官能基の構造は予めPDBファイルで作成し、ここから拡張子を抜いたファイル名及び、付加時にフラーレンの炭素原子(CA, CB)に置き換えられる原子2個(UA, UB)、並びにCA, CBの中点CMとフラーレン中心(CO)を結ぶ線分上に中点(OM)が存在する原子2個(OA, OB)を、PDBファイルの13-16カラムに書かれたatom serial number で表現した上で、コンストラクタに渡さなくてはならない(Figure 2)。


Figure 2. Example scheme for the program to get 0x0010 0081 geometry.

このツールにおいてatom serial number は欠番を許容しており、たとえば付加させる官能基のモデリングに都合して水素原子などを一時的に仮定した後、PDBファイルからそれらの行を直接削除して欠番が生じても差し支えない。ただし、読み込まれるrecord name は “ATOM ” 及び “HETATM” の2種類のみである。
また、シクロプロパン環やシクロペンタン環を介した付加の場合、OMの座標指定に1つの原子で充分だが、シクロヘキサン環などの偶数の環による結合も視野に入れOMを2つの原子の中間地点として定義した。なお、OM上に原子が存在する場合はOAOBは同じ値でよい。
30箇所の二重結合へ、1付加体がC2対称となる付加基ならば、どのような構造でもそのpdbファイルを指定することで、また付加位置を構造IDで指定することで簡単に原子の座標を得ることが出来る。但しこのツールにより出力される構造は付加基を単純に複製移動させたものであり、続く構造最適化ではいきなり高い基底系を適用しようとせず、先にAM1法などで粗く最適化をかけるべきである。

2. 2 生成量の定性的予測

モデリングツールで得たbis(4-methoxyphenyl)- methano[60]fullereneの1付加体(0x0000 0001)をAM1法により粗く最適化し、続いてB3LYP/ 3-21Gにより最適化した。通常、1付加体から2付加体を誘導するとe異性体に比べtrans-1異性体は殆ど得られない[8]。これは1付加体のLUMOがe位置に比べてtrans-1位置に殆ど分布していないからと考えられている[9]。計算で求めた1付加体のMOもLUMO及びLUMO+1にかけ、e位置に比べtrans-1位置に殆ど分布していない(Figure 3)。これらの事からbis(4-methoxyphenyl)methano[60]fullereneの2付加体もe異性体優位であると予測できる。


Figure 3. (left) LUMO and (right) LUMO+1 of C60C(PhOMe)2 (B3LYP/3-21G).

2. 3 紫外可視吸収スペクトルの予測

モデリングツールで得たbis(4-methoxyphenyl)- methano[60]fullereneの2つの2付加体すなわちe異性体(0x0000 0081)、trans-1異性体(0x0800 0001)をAM1法により粗く最適化し、続いてB3LYP/ 3-21Gにより最適化した。これらの最安定構造に対してZINDO/SによりNstates=80まで励起状態計算を行い、一電子励起エネルギーと振動子強度から計算スペクトルを得た(Figure 4)。


Figure 4. Calculated absorbance of trans-1 and e isomers of C60(C(PhOMe)2)2 by ZINDO/S//B3LYP/3-21G. The inset shows the enlarged 400-590nm range.

通常、2付加体の吸収スペクトルはtrans-1異性体に比べてe異性体がブロードとなる傾向にあり、その傾向は殆ど官能基に由来せず、付加パターンに起因すると考えられている[8]。今回の計算スペクトルもtrans-1異性体に比べて対称性の低いe異性体に於いて縮退が解けたことによると思われる多くの遷移が見られ、e異性体の波形は全体的にブロードになるであろうことが予想された。特に目立った違いはe異性体の波長500nmより長波長側に幾つか比較的大きな遷移が見られることである。

3 合成による確認

3. 1 2付加体の単離

Bis(4-methoxyphenyl)methano[60]fullerene多付加体の合成は次の手順に従った。まずモレキュラシーブ4Aで良く脱水したトルエンを脱気し、C60(Matsubo Co. Ltd., 昇華精製99.99% purity) を完全に溶かした後、5モル等量の bis(4-methoxyphenyl)diazomethane を添加した。窒素雰囲気の遮光下で1日攪拌後、10日間還流を行うと赤褐色の溶液が得られた。なお、以下の操作は室温で行われた。ただし生成物はエポキシ化による酸化を受けやすいことがMALDI-TOF MSにより判明したため、保管の際は窒素置換し-20℃においた。この環境下では100日以上劣化が抑えられることがHPLCにより確認された。また、この酸化は遮光することである程度防ぐことが可能であると判明したため、試料調整等は極力遮光下で行った。
得られた多付加体溶液はN2フラッシュカラム(球状中性シリカゲル,40-50mm)により付加数ごとに分画された。展開液は予め脱気したヘキサン/トルエンの混合溶液を用い、1/1から0/1へ濃度勾配をかけた。未反応フラーレンと1付加体溶液の展開の後に赤褐色の2付加体混合溶液が得られた。1付加体は一晩放置すると黒色結晶となって析出した。この結晶はC60程ではないがクロロホルムに殆ど溶けないことが知られている。
得られた2付加体混合溶液はHPLC(Waters alliance HPLC system, PDA検出器, ODS column, Senshu Scientific Co. Ltd., DOCOSIL C-22) により異性体ごとに分画された。Figure 5に示すクロマトグラムはテトラヒドロフラン / メタノール = 35 / 65 ( Flow Rate = 8.3mL/min ) での展開で、14分のフラクション1(黄色)と20分のフラクションに含まれる成分のみが1H-NMRにおいて他とは区別可能なピーク数を示した。このメタノフラーレンのtrans-1異性体とe異性体以外の2付加体に存在する区別可能なプロトン数は等しく、すなわちこれらの1H-NMRのピーク数と積分比は区別できない。このことから、得られた成分がtrans-1異性体とe異性体の組み合わせであることがわかった。但し20分のピークには他の異性体が重なっていたため、テトラヒドロフラン / トルエン / メタノール = 9 / 25 / 66において更にこれを分離しフラクション2(赤色)を得た[10]。350nmにおけるクロマトグラムのピーク面積及び収量から、フラクション1及び2の生成量比はおよそ1:4と見積もられた。


Figure 5. Reverse phase chromatogram of bisadducts methano[60]fullerene.

3. 2 紫外可視吸収スペクトル

フラクション1及び2のクロロホルム中での紫外可視吸収スペクトルはShimadzu UV2101-PCにより測定された(Figure 6)。1は325, 407, 452及び490nmに、2は307, 400, 430 及び490nmに吸収ピークを示した。490nmにおける吸収は1がシャープであることに対し、2はブロードで且つ500nm以降の長波長側にもなだらかな吸収帯が観察された。これらの特長から1trans-1異性体、2e異性体であることが予測された。なお、2の490nmにおけるモル吸光係数は2×103mol-1dm3cm-1と見積もられた。


Figure 6. Absorption spectra of fraction 1 and 2 in chloroform.

3. 3 構造決定

フラクション1及び2の構造解析はFAB MS (JEOL JMS-AX505HA, glycerol and m-nitro- benzyl alcohol as matrix)及びMALDI-TOF MS (PerSeptiveBiosystems, Voyager, 2,2':5,2"-ter- thiophene as matrix) 並びに1H/13C-NMR (JEOL, JNM-LA500) により行われた[11]。FAB MS (positive)によると、フラクション1及び2 は2付加体相当の質量を持ち、3付加体相当の質量は検出されなかった。1H-NMR (CDCl3, TMS, 500MHz)の結果から1trans-1異性体、2e異性体であることが確認された。さらに213C-NMR (CDCl3, 125 MHz)によっても構造が確認された。すなわち58ppm付近に2個のブリッジヘッド炭素ピーク、80ppm付近に3個の飽和炭素ピーク、55ppm付近に3個のメトキシ炭素ピーク、159ppm付近に3個のフェニル炭素ピークが確認された。1H-NMRによると、フラクション1及び2の純度は少なくとも95%以上と見積もられた。しかしながらMALDI-TOF MSはそれぞれ主ピークの2付加体の他に僅かながら3付加体に相当するピークを示した。
ただし同様な現象は結晶化により精製した1付加体にも見られ(Figure 7)、マトリックスのターチオフェンを含む場合と含まない場合の双方においてレーザー強度を上げてゆくにつれ徐々に実際よりも1付加多い質量数のピークが検出された。このことからフラクション1及び2においても実際には3付加体は存在していないと考えられる。


Figure 7. Positive MALDI-TOF mass spectrum of monoadduct methano[60]fullerene C60C(PhOMe)2 without terthiophene matrix taken at higher laser intensity.

マトリックスを含まない場合でもMSが検出できることから、このメタノフラーレンはMALDIのレーザー脱離に対して、それ自身がマトリックスとして作用していると考えられ、具体的には2分子間で付加基 (Figure 7a) もしくはその一部分(Figure 7b) の脱着が行われ、レーザー強度を上げることにより107, 226m/z多い位置にゴーストピークを検出させていると思われる。一方でFAB MSにおいてこの現象が見られないのは、イオン化に運動エネルギーを利用していることによると思われる。このことからbis(4-methoxyphenyl)methano[60]fullerene多付加体の質量数確認はMALDIではなくFABを用いる必要があることがわかる。

4 考察

4. 1 生成量

クロマトグラムは他の多くの2付加体と同様にtrans-1異性体が一番最初に展開された[8]。その収量はe異性体と比べて僅かであり、2.2の計算で行われた収量予測は実験的に確認された。同様な論法でTh対称の6付加体へ至りうる3付加体各異性体の定性的な収量予測を行うとB3LYP/3-21Gにより最適化した構造におけるMOのLUMO (Figure 8) から推察した場合、trans-1異性体を出発材料とした時0x0800 0081よりも0x0010 0081が優位であり、e異性体を出発材料とした場合、0x0800 0081 や 0x0010 0081 よりも 0x0000 1081が優位であると予想され、それぞれの子孫誘導体にこれら3付加体の共通成分は量的に多く見出せない可能性が高いことが解った。


Figure 8. LUMO of trans-1 (left) and e (right) isomer of C60(C(PhOMe)2)2 (B3LYP/3-21G).

4. 2 溶解度

フラクション1及び2は分取後-20℃に数日置いたところ細かい針状結晶が析出した。今回のフラーレン多付加体混合溶液はトルエン中で過飽和の状態にあり、単離することで容易に析出する傾向にある。ただし、これらの2付加体結晶は1付加体のそれとは異なり比較的クロロホルムに溶けやすく、すなわち付加数とともに溶けやすくなる傾向を示し、溶解がメトキシフェニル基と極性溶媒との相互作用によりもたらされていることが推定される。またクロロホルムに対する室温での溶解度はフラクション1trans-1異性体が2×10-3mol/L、フラクション2e異性体が2×10-2mol/Lと実測され、trans-1異性体よりe異性体が大きな値を示した。B3LYP/ 3-21Gにより計算された双極子モーメントがe異性体で40.4D、trans-1で0.00Dという結果を踏まえるとtrans-1の溶解度が比較的小さな値を示すのはD2対称により付加基に起因する双極子モーメントが相殺されたことによるものと考えられる。

4. 3 紫外可視吸収スペクトル

広幅化したZINDO/Sの計算スペクトルと実測スペクトルをFigure 9に重ね合わせた。波長300-400nmにおける幾つかの吸収は付加基とフラーレン間の遷移が僅かに関与していることが計算されたが概してフラーレンに局在したMOに由来する遷移が支配的であった。この波長域は吸収波形が概ね実験値と一致している領域であるが、異性体ごとの違いが現れにくい領域でもある。これに対して500nm付近は構造による違いが現れやすく、計算からもその特長がよく再現されている。これらの吸収のうち、e異性体の500-550nm付近は全てHOMO-4〜HOMOからLUMO〜LUMO+4への遷移に相当していることが解った。MOはHOMO-6からLUMO+11までフラーレンに局在しており、少なくとも480nm以上の長波長域の吸収は全てこれらの遷移で説明されることが確認された。この傾向はtrans-1異性体でも同様で、MOはHOMO-5からLUMO+12までフラーレンに局在しており、475, 430, 370nm付近のピークを構成する遷移に付加基の関与は殆ど見られなかった。すなわちメトキシフェニル基の付加した2付加体においても他の付加基の場合と同様500nm付近の吸収波形に見られるtrans-1及びe異性体の特徴的な違いは、専ら付加パターンに支配されていることが確認された。そして、これらの結果はB3LYP/3-21Gによる最適化構造におけるZINDO/Sで充分予測可能であることが実証された。


Figure 9. Observed and calculated absorption spectra of (a)trans-1 and (b)e.

5 まとめ

本研究では従来1付加体までしか得られていなかったbis(4-methoxyphenyl)methano[60]fullerene2付加体のうち、trans-1異性体及びe異性体の単離に成功した。これらのメタノフラーレンはMALDI- TOF MSに対して自分自身がマトリックスとして作用し一般に見かけ上1付加多い値も示すことがわかった。一方でこの効果がFABでは観察されなかったことから、この自己マトリックスがレーザーイオン化に起因することが推定された。
これらのメタノフラーレンはB3LYP/ 3-21Gにより構造最適化され、定性的収量の理論的予測が為された。多くの2付加体と同様、1付加体のLUMOはtrans-1位置に余り分布しておらず、実験的にもtrans-1異性体に比べてe異性体が優位に生成されることが確認された。同様の推察から、これらの2付加体を出発材料とした場合、それぞれの子孫誘導体に共通する3付加体は量的に多く見出せない可能性が示唆された。
これらのメタノフラーレンのクロロホルムに対する溶解度は付加数とともに高まり、溶解がメトキシフェニル基と極性溶媒との相互作用によるものと推定された。クロロホルムに対する室温での溶解度がe異性体(2×10-2mol/L)よりもtrans-1異性体(2×10-3mol/L)が低い理由は、trans-1異性体のD2対称が付加基の双極子モーメントを相殺していることによると思われる。
これらのtrans-1及びe異性体の計算(ZINDO/S)と実測の紫外可視吸収スペクトルは300-400nmにおいて概ね一致した。異性体の違いによる波形の違いはe異性体の500nm以降のブロードな吸収帯に現れ、計算もこれを再現した。ただし、300nm以降の遷移の殆どに付加基が寄与するMOは関与しておらず、一般的に知られているように専ら付加位置のパターンによって吸収波形が決定されていることが計算から裏付けられた。
いずれにせよ、このような理論的予測にB3LYP/ 3-21Gによる構造最適化とZINDO/Sによる励起状態計算が実用的であることが確認された。これまで異性体ごとの吸収波形は様々な付加基の2付加体に対して充分に蓄積されてきたが、任意の付加数と付加パターンに対するデータは殆ど得られていないのが現状である。収量に対する予見も同様で、これらが理論計算である程度予測可能となることが望ましく、今回の報告も一つの事例として、今後さらに多くの付加基や付加パターンにおける計算化学的なアプローチが期待される。
本研究の各計算はAM1がWindows XP上のMOPAC 3.0で行われ、それ以外はUNIX(AIX Version 5)上のGaussian03. Revision B.03. により行われた。分子軌道図はWindows XP上のGaussView3.09で計算されたものを用いた。
本研究では、広く一般的な付加基に対しても利用可能な汎用的フラーレン多付加体モデリングツールを開発し用いた。このツールは30箇所あるC60フラーレン二重結合を付加位置と限定し、その付加パターンを30ビットの整数で定義した8桁の16進数からなる構造IDよりCartesian座標のファイルを出力することを可能としている。また、このツールは下記のURLにて公開されている。
http://www.toida.jp/tatsuo/2005/10/12/JCCJ/

参考文献

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