大規模分子の分子軌道計算
- LysozymeとモデルDNA分子の分子軌道 -

渡邊 寿雄a,b, 稲富 雄一c, 石元 孝佳a,b, 梅田 宏明a,b, 櫻井 鉄也a,b,d, 長嶋 雲兵a,b*

a科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(CREST), 〒332-0012 埼玉県川口市本町4-1-8川口センタービル
b産業技術総合研究所 計算科学研究部門, 〒305-8568 つくば市梅園1-1-1中央第二
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d筑波大学大学院 システム情報工学研究科, 〒305-8571 つくば市天王台1-1-1

(Received: June 7, 2007; Accepted for publication: July 20, 2007; Published on Web: August 30, 2007)

  フラグメント分子軌道(FMO)法に基づいた大規模系の分子軌道(FMO-MO)計算についての概要と、Lysozyme分子およびモデルDNA分子への適用結果を示す。FMO-MO法は、FMO計算によって得られた密度行列を基にFock行列を生成し、それを一度だけ対角化することによって近似的な分子軌道を得る方法である。本方法は巨大な分子全体に対する反復解法を行わずにすむため、従来の分子軌道法では非常に困難であった2000原子程度の大規模分子の分子軌道計算を、比較的短時間で行うことができる。また新たに開発した対角化法を用いると化学反応に重要なHOMO-LUMO付近のみの軌道エネルギーと軌道を得ることが可能であり、従来法に比較して大幅な時間短縮が可能である。
  Dual Opteron 246, 2GHz × 128台を用いた並列計算では、Lysozyme分子(129 アミノ酸残基, 1961 原子)と溶媒(8258原子、STO-3G 20758基底関数)に対するFMO-MO計算を、5時間程度で行うことができた。このとき、水分子の配置の仕方でHOMO-LUMOの位置が大きく変化することが確認された。また同じシステムを用いるとDNAのモデル(40核酸対、2636原子、STO-3G 10108基底関数)を1時間以内で計算可能であった。この場合、HOMOはDNAの中央に大きな振幅を持ち、LUMOはDNAの末端近くに大きな振幅を持っていた。

キーワード: Fragment Molecular Orbital method, Large scale molecule, Parallel processing, Lysozyme, Model DNA


Abstract in English

Text in Japanese

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