DFT法による過酸化水素-金属イオン錯体の理論計算

江藤 功*, 藤原 英夫, 秋吉 美也子, 松永 猛裕

産業技術総合研究所 爆発安全研究コア, 〒305-8565 茨城県つくば市東1-1-1 中央第五

(Received: November 8, 2007; Accepted for publication: February 6, 2008; Advance publication: February 20, 2008)

  金属イオンが過酸化水素の分解を促進することについて,分子レベルで解析を行うための第一段階として,過酸化水素−金属イオン(K+,Ni2+,Cu+,Cu2+,Fe2+,Fe3+)錯体について,DFT法(B3LYP)による構造最適化と振動数計算を行った.基底系は金属原子に対してLANL2DZを,H, O原子にD95V,D95V+*,6-311+G*を用いた.計算した錯体構造は過酸化水素と金属イオンの1:1錯体,および過酸化水素と金属水和イオンの多分子錯体である.1:1錯体では,K+,Cu+,Fe2+錯体については最適化構造が得られたが,Ni2+,Cu2+,Fe3+錯体では,過酸化水素の電荷が金属イオンへと移動し(H2O2)とMn-1のような電荷分布となり,クーロン反発が生じたため,最適化構造が得られなかった.一方,水分子を加えた多分子錯体では,全てのイオン種で最適化構造が得られた.最適化構造や振動数解析の結果から,種々の金属イオンが過酸化水素の周りに存在するときの過酸化水素の構造の変化や,O-O結合強度の変化を検討した.過酸化水素と金属水和イオンの相互作用は,錯体の電荷分布や水素結合,および配位状態によって変化した.

キーワード: 過酸化水素, 金属イオン錯体, DFT法, 結合強度


Abstract in English

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