α−アミノニトリルジアステレオマーの配座解析

櫻井 ルミ子a †, 内田 朗b, 服部 徹太郎a*, 山浦 政則c

a東北大学大学院環境科学研究科, 〒980-8579仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-11
b東邦大学理学部, 〒274-8510船橋市三山2-2-1
cいわき明星大学薬学部, 〒970-8551いわき市中央台飯野5-5-1

(Received: July 1, 2008; Accepted for publication: September 16, 2008; Advance publication: November 4, 2008)

  ジアステレオマーの関係にある2つのa-アミノニトリル[1S,2R,(S)]-および[1S,2R,(R)]-N-シアノフェニルメチル-1-アミノインダン-2-オール[(S)-1および(R)-1]の配座解析をDFT B3LYP/6-31G*レベルで行った.その結果,両ジアステレオマーは,配座異性体の混合物として存在することがわかった.(S)-1では,エネルギー最小配座 S1から0.4 kcal/molのエネルギー幅に2つの安定配座 S2, S3があり,占有率はそれぞれ43% (S1), 24% (S2), 22% (S3)であった(Table 1).これに対して,(R)-1では,エネルギー最小配座 R1が他の配座に比べて1.51 kcal/mol以上安定であり,全体の76%を占めた(Table 2).また,両ジアステレオマーのエネルギー差は小さく(DE = -0.09 kcal/mol),このことは,2つのジアステレオマーがDMSO中で50:50の平衡組成になるという観察結果と良く符合した.一方,結晶中では,(S)-1が(R)-1よりも安定なことがわかっている.X線結晶構造解析で得られた(S)-1の配座 S0S3と良く一致する(Figure 1, Table 3).また,結晶中では,1分子が隣接する4分子と水素結合を形成している(Figure 2b).さらに,結晶密度は(R)-1よりも(S)-1の方が高い.これらのことから,(S)-1では,S3が密に充填し,分子間水素結合も手伝って,安定な結晶を形成していると考えられる.他方,(R)-1では,結晶中の配座 R0R1とフェニル基の配座と水素結合に違いが見られる(Figure 1, Table 3).結晶密度も低いことから,R1はそのままでは結晶化が困難で,配座と水素結合を変化させて,安定性の低い結晶を形成していると考えられる.

キーワード: Conformation analysis, Crystal structure, Packing force, Hydrogen bond


現在の所属:いわき明星大学薬学部
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