晴天のデジタル画像解析

神部 順子, 長嶋 雲兵, 高妻 孝光, 中山 栄子, 青山 智夫


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1 はじめに

今日、環境問題は個別の地域を研究する時代から、大域的な地域を関連付けて考えなければならない時代になっている。日本の西に位置し、日本の大気に大きな影響を及ぼす中国・東南アジアは、経済発展の著しい地域であり、そこでの大気汚染はかなり憂慮される状況である。
しかしながらよほどひどい場合を除けば、大気汚染を直感的に理解することはむずかしい。そこで我々は、デジタルカメラで撮影した画像を解析することで、大気汚染物質の量、広がり、成分を直感的に理解する試みを始めた所である[1, 2]。
本論文では、大気汚染観測の標準を決めるために晴天のデジタル画像の解析を行ったので、それを報告する。

2 方法

2. 1 撮影場所と日時

本論文で報告する画像の撮影場所は、オーストラリアのシドニー、長野県松本市の美ヶ原高原、茨城県水戸市、土浦市、つくば市、東京都世田谷区三軒茶屋およびオーストラリア・グレートバリアーリーフ上空の7カ所で観測した晴天の画像である。それぞれの撮影時間や気象条件はバラバラであるが、シドニーとグレートバリアーリーフ上空を除けば、得られた画像で一番の晴天の画像の解析結果を報告する。写真は、視野角の様子を明らかにするため、周辺の木や建物を入れて撮影した。


Figure 1. North view at Utsukushigahara Hill on November 6, 2008. Red line shows analyzed Pixels. This picture was taken by OLYMPUS E-410 with ZUIKO DIGITAL ED 14-42 mm F = 4 , shutter speed is 1/2500.

シドニーは、オーストラリア東南部に位置するオーストラリア最大の都市であり、オーストラリア最大の人口を有し、南半球を代表する経済、文化の中心都市である。国際的な観光都市でもあり、海に臨むオペラハウスなどが著名で、世界でも屈指の美しい都市である。撮影時刻は9月11日午前10時ごろである。オーストラリアのグレートバリアリーフ北東海上10 kmは9月23日に通過した。撮影は飛行機の窓から11時頃である。
美ヶ原高原は長野県松本市の東に位置し、主峰王ヶ頭(2034 m)を中心に北に武石峰、南に茶臼山、東に物見石山、西に王ヶ鼻(2008 m)など標高2000 m近い熔岩台地で多くの亜高山植物が咲き競い、遠く富士山をはじめ、北アルプス、中央アルプス、南アルプス、八ヶ岳の雄大な360度のパノラマが壮麗な美しい高原である。撮影日時は11月6日12時過ぎである。


Figure 2. North view from in front of Tsuchiura station (Tsuchiura City) on October 30, 2008. Red line shows analyzed pixels. This picture was taken by RICOH GX100.

水戸市は関東地方北東部に位置する都市で、茨城県を代表する都市である。土浦市及びつくば市は水戸市に比べ人口は少ないが東京に近く、東京近郊の衛星都市といえる。世田谷区三軒茶屋は東京都心である。

2. 2 画像の撮影機材

美ヶ原高原の撮影はオリンパスE-410[3] ZUIKO DIGITAL ED 14-42 mm F3.5-5.6 レンズで行った。絞りは、F4で、シャッター速度は1/2500である。宮崎はPentax *ist DS2[4]、レンズはDA21/3.2、絞りF8である。その他の場所はハンディーカメラのリコーGX100[5]である。撮影方法は、Figure 1Figure 2に例示するように、広角レンズを用いて太陽を背にし、画像下部に地表の目標物を入れ、地表から天頂までを撮影した。画像はRAW形式で保存した。


Figure 3. G/R, B/R, B/G values along the red line shown in Figure 1 (Upper: Utsukushigahara Hill) and Figure 2 (Lower: Tsuchiura City), where column is pixel number from the top.

2. 3 デジタル画像の処理

RAWファイルのビット数は14である。しかし、RAWファイルは直接自作ソフトウェアからアクセスできない(ファイル形式の詳細が公表されていない)ため、各社から提供されているRAW現像ソフトウェア(たとえばPentax Photo Browser)を使用し,一般的な画像フォーマット(TIFFなど)に変換した。
RAW現像ソフトの出力画像をTIF 8ビット形式とし、ファイル・コンバータでRGB形式に変換し、Fortranプログラムでbinary形式でopenし、書式なしREAD文で読み、赤緑青(RGB) 3成分から赤R、 緑G、 青B成分を抽出した。この際縦前後3行(つまり7行分)、横左右3列(つまり7列分)のデータを平均し、そのピクセルでの代表値とした。さらにカメラの機種依存性を除くために、G/R, B/R, B/Gの比を比較した。天頂から1000ピクセル分を青空の平均とした。
この際コントラスト強調処理[1, 2]を行って、ピクセル周辺に浮遊粒子状物質(Suspended Particulate Matter: SPM)の固まりがないことを確認した。
Figure 1のG/R, B/R, B/Gの比をFigure 3に示す。比 = 1.0が白色を表す。

Table 1. Average values and standard deviation of G/R, B/R and B/G of fine sky (Figure 3)
UtsukushigaharaG/RB/RB/G
Average1.903.151.66
Deviation0.090.190.03
TsuchiuraG/RB/RB/G
Average1.472.341.60
Deviation0.060.090.03

上の美ヶ原(Figure 1)は赤い線が横に走っているので、東に向かって緩やかにG/R, B/Rの比が小さくなっていることがわかる。下の土浦は天頂(左端)から地上(右端)に向かって比が小さくなっている。これは、地表に近くなるとSPM等の影響が強くなるため白くなってくるためである。各値の平均値と標準偏差をTable 1に示す。
結果の節で説明するが、美ヶ原のB/R = 3.15は非常に赤と青の値の比が大きく、清浄な空を示している。もちろん、土浦の2.27もとても綺麗な青空であることを示している。大まかに言えば晴天のデジタル画像はカメラによる差があるとはいえB/Rが2より大きく、またG/RとB/Gがほぼ等しく、それぞれ1.5程度の値をもつということができる。
先にコントラスト強調処理を行って、ピクセル周辺にSPMの固まりがないことを確認したと述べたが、実際には次のようにpixel値を変換しコントラスト強調処理を行った。[1]
1) ピクセルの成分値を{Xi}と書くと,

である。これにより画面の至る所コントラスト強調処理を施す。すなわち、

とする。ここでnは経験的に決定する定数である。


Figure 4. Contrast enhanced pictures of Figure 1 \mbox{(Utsukushigahara)} and 2 (Tsuchiura).

有効数字は目的の画像の調子により変化する。当然撮影機材によっても変わる。我々の経験ではn = 1.2~1.6が適切であった。Xinではなくa Xi(aは定数)でも良いがデジタルカメラの高輝度部は実照度に比べ輝度値の増加が抑制されているのでコントラスト強調効果は低下する。
2) 式(3,4)により画像の規格化を行い、{ Yi ' }をファイルに出力する。

この規格化は式(2)より不要に思われるかも知れないが、右辺のXiの値によっては[Ymin, Ymax]が[0, 255]にならない場合がありうる。僅かな確率で、効果も画素値の範囲を小拡大するだけであるが悪影響はないので使用した。
Figure 1Figure 2のR成分をn = 1.41で画像化したものをFigure 4に示す。白い線が解析されたpixelである。解析するpixelが均一な空間を切っていることが判る。均一に光度が変化している場合の典型的な縞模様が現れており、このときの土浦上空には特にSPM塊等は見られない。


Figure 5. Cloudy Sky. North view from Tsukuba Center and contrast enhanced picture on December 12, 2008. Red line shows analyzed pixels. This picture was taken by RICOH GX100.

参考までに曇天の空の画像およびコントラスト強調画像をFigure 5に、G/R, B/R, B/GをFigure 6にそれぞれ示す。各値の平均値と標準偏差をTable 2に示す。

Table 2. Average values and standard deviation of G/R, B/R and B/G of Cloudy Sky. (Figure 6 (Tsukuba))
Cloudy SkyG/RB/RB/G
Average0.971.061.09
STDEV0.010.020.01

この空が上空から地上まで、非常に均一な曇り空であり、Figure 6Table 2からは、このときのG/R, B/R, B/Gの値がほぼ1.0であることがわかる。


Figure 6. G/R, B/R, B/G values along the red line shown in Figure 5 (Tsukuba), where column is pixel number from the top.

3 結果

本節では、シドニー、宮崎市、水戸、つくば、三軒茶屋およびグレートバリアーリーフ上空の結果を短くまとめる。

3. 1 シドニー

Figure 7にシドニー湾で撮影した画像をコントラスト増強画像とともに示した。撮影場所は、シドニー水族館の前である。下部に海面が見えている。コントラスト増強画像からは、この時の空が非常に均一でSPM塊等が見られないことが判る。
Figure 8Figure 7に示した画像のG/R, B/R, B/G比を示した。シドニーは大都市であるため右側の地上(2000 pixelより大きな部分)はSPMのため急速に白に向かっているが、上空は非常に青い。Table 3にG/R, B/R, B/Gの平均値を示した。


Figure 7. North view and Contrast enhanced picture in Sydney on September 12 2008. Red line shows analyzed pixels. This picture was taken by RICOH GX100.


Figure 8. G/R, B/R, B/G values along the red line shown in Figure 7, where column is pixel number from the top.

Table 3. Average values and standard deviation of G/R, B/R and B/G of fine sky in Sydney. (Figure 7 )
G/RB/RB/G
Average1.652.841.73
STDEV0.070.120.03

平均は上空1000 pixelを取った。B/Rが2.8であり青く澄み渡った晴天であることが判る。ほぼ霞ヶ浦が近い土浦はシドニーとほぼ同様な環境のように思えるが、Figure 2のB/R比は2.3であった。海抜0メートルで、シドニーのような大都市でこのように澄み渡った空が見られるのは驚きである。土浦にはSPMが流れ込んできているのかもしれない。

3. 2 宮崎

宮崎の画像をコントラスト強調画像とともにFigure 9に示す。本画像はPentax *ist DS2+DA 21/3.2で撮影した。撮影データはFigure Captionに示した。


Figure 9. North-east view on south Miyazaki station of Japan Railway Co. Ltd. The geographical coordinationes are 31.895097 North and 131.42233 East. The observed day and time are August 6, 2007, 16:24 JST, when a digital dust meter indicates the SPM density is 8 mg/m3. The red line shows digitized pixels. This picture was taken by Pentax *ist DS2 + super multi-coated Pentax DA 21/3.2 Limited without any enhanced image processing of the inner digital engines. The photographic information is F = 8.0, 1/500 speed, ISO = 200 (lowest), sRGB space, and no filter.

とても均一な空の画像であることが判る。Figure 10Figure 9に示した画像のG/R, B/R, B/G比を示した。Table 4にそれぞれの平均値を示した。平均は上空1000 pixelを取った。
本画像はB/Rが4.0に近く、この画像が現在我々が持っている画像の中で一番B/Rの平均値が大きく、青く晴れ渡った空の画像である。

Table 4. Average values and standard deviation of G/R, B/R and B/G of Figure 9.
G/RB/RB/G
Average2.143.941.84
STDEV0.050.090.03


Figure 10. G/R, B/R, B/G values along the red line shown in Figure 9 (Miyazaki), where column is pixel number from the top.


Figure 11. North view and contrast enhanced picture in Mito on November 20 2008. Red line shows analyzed pixels. This picture was taken by RICOH GX100.

3. 3 水戸

水戸は東北関東の中堅都市であり、北と西が山地に遮られ、南と東が開けている。水戸市中心部の茨城大構内で撮影した画像をコントラスト強調画像とともにFigure 11に示す。とても均一な空の画像であることが判る。Figure 12Figure 11に示した画像のG/R, B/R, B/G比を示した。Table 5にそれぞれの平均値を示した。平均は上空1000 pixelを取った。
B/R値は、上空の平均が2.9であり、上空はシドニーや土浦より清浄である事を示している。Figure 12を見ると地上すれすれで2.0を切るほどであり、SPMの滞留等も観測されない。県庁所在地の30万都市としてはずいぶん清浄な空である。


Figure 12. G/R, B/R, B/G values along the red line shown in Figure 11 (Mito), where column is pixel number from the top.

Table 5. Average values and standard deviation of G/R, B/R and B/G of Figure 11.
G/RB/RB/G
Average1.742.961.70
STDEV0.070.130.03

3. 4 つくば

つくばは東北山系の南端に位置した、関東平野の小都市である。中心地のつくばバスセンター付近の画像をコントラスト強調画像とともにFigure 13に示す。
とても均一な空の画像であることが判る。Figure 14Figure 13に示した画像のG/R, B/R, B/G比を示した。Table 6にそれぞれの平均値を示した。平均は上空1000 pixelを取った。


Figure 13. North view and Contrast enhanced picture in Tsukuba on November 1, 2008. Red line shows analyzed Pixels. This picture was taken by RICOH GX100.

Table 6. Average values and standard deviation of G/R, B/R and B/G of Figure 13.
G/RB/RB/G
Average1.582.591.64
STDEV0.050.080.03

B/Rの平均値は2.6であり、水戸の3.0に比べると小さい。これは水戸に比べて青さが弱い事を意味している。SPMの量の違いが示唆されるが、これはつくばが都心に近いためなのだろう。両者を比較するためには、より観測密度を高め、きめ細やかな観測をすることが必要である。

3. 5 三軒茶屋

三軒茶屋の昭和女子大から北東を見た画像をコントラスト強調画像とともにFigure 15に示す。上空はとても均一な空の画像であることが判る。コントラスト強調画像の右側の白点は、レンズの汚れかCCDの欠陥である。左の通常の画像でもよく見ると判るが、見つけにくい画像の欠陥である。このようにコントラスト強調を行うことで、レンズの汚れやCCDの欠陥を明確に表現することができる。 


Figure 14. G/R, B/R, B/G values along the red line shown in Figure 13 (Tsukuba). Where column is pixel number from the top.


Figure 15. North-east view and Contrast enhanced picture in Sangenjaya on November 20, 2008. Red line shows analyzed pixels. This picture was taken by RICOH GX100.

Table 7. Average values and standard deviation of G/R, B/R and B/G of Figure 15.
G/RB/RB/G
Average1.492.411.62
STDEV0.070.110.04

Figure 16Figure 15に示した画像のG/R, B/R, B/G比を示した。左端の値は、つくばや土浦と大きく変わらないが、各線の負の傾きが水戸や土浦、つくばのそれに比べ大きく、1500 pixel付近でB/Rが2.0より小さくなっている。三軒茶屋は上空は清浄であるが急激に清浄さが減少している様子がわかる。都心はやはりSPMの濃度が高いためであろう。
Table 7にそれぞれの平均値を示した。平均は上空1000 pixelを取った。平均値は上空のそれであるため、つくばや土浦とほぼ同等であるが、標準偏差が大きくつくばや土浦とは大気の様子が違うことが伺われる。


Figure 16. G/R, B/R, B/G values along the red line shown in Figure 15 (Sangenjaya), where column is pixel number from the top.


Figure 17. North view and Contrast enhanced picture in Sangenjaya on November 20, 2008. Red line shows analyzed Pixels. This picture was taken by RICOH GX100.

3. 6 グレートバリアーリーフ上空から

シドニーからの帰り、赤道付近のグレートバリアリーフ上空で飛行機の窓より撮影した外部の画像をコントラスト強調画像とともにFigure 17に示す。本観測は可視光の観測であるので、透明なアクリルの窓の存在は本画像解析には大きな影響を与えない。
上空は、とても均一な空の画像であることが判る。下側は成層圏の下側の対流圏上部に存在する雲である。右側の白い固まりはもし本来の水主成分の雲であるならば観測されるであろう白さを持つ雲の固まりであるが、その雲の上を灰色の雲が覆っていることが判る。赤道付近の対流圏上部に水主成分ではないSPMの層があることが判る。

Table 8. Average values and standard deviation of G/R, B/R and B/G of Figure 17.
G/RB/RB/G
Average1.432.301.61
STDEV0.080.150.04

Figure 18Figure 17に示した画像のG/R, B/R, B/G比を示した。またTable 8にそれぞれの平均値を示した。平均は上空1000 pixelを取った。
B/Rの値が2000 pixel辺りで2.0を切り始め、2600辺りで1.0を切り、2700で丁度白い部分となる。Figure 17に見られる輝く白い雲は、B/R, G/R, B/Gが1.0をわずかに超える値の小山となって観測されている。先にも述べたが、対流圏と成層圏の間に黒いSPMの層が存在している。このSPMについては、さらに分光器を用いてスペクトルを観測するなど詳しい観測が必要である。
高輝度を示すFigure 17のピクセル数2300 - 3000のR, G, B値そのままをFigure 19に示す。ピクセル数2700 - 2800が高輝度部分である。この雲は実質的にR = G = Bであり、Figure 17を見てもわかるとおり、真っ白である。ここでRが強くなるのはRICOH GXの特徴である。
pixel数2500と2600の間で、R曲線がG, B曲線と明らかに違うことがわかる。これは、R成分の多いmistの存在を示唆している。 


Figure 18. G/R, B/R, B/G values along the red line shown in Figure 17, where column is pixel number from the top.


Figure 19. R, G, B values between 2300-3000 pixels along the red line shown in Figure 17, where column is pixel number from the top.

R成分の多いmistがあるということは、これ以外にも観測されている。例として2009年2月12日に宮崎に飛来した小規模な黄砂の画像をFigure 20 に、そのRGB 値のグラフをFigure 21に示す。天候は快晴で空は青く,視程は8km,雲量0[7]である。撮影はPentax K100D super[6] で行った。レンズはsuper multi-coated Pentax FDA 100/2.8である。撮影データはFigure 20 caption に示した。
Figure 21の横軸はFigure 20の中央部の岡の端を0.0とした仰角であり、解析はFigure 20中央縦である。ここでもR, G, B成分それぞれの挙動を示すために、R, G, B成分の絶対値を図示した。これを見るとG, B成分に異常はなく、R成分が不規則に上空まで波打っており、Figure 17に示された黒い霧と様子が似ていることがわかる。この黒い霧の正体はわかっていない。


Figure 20. West view on Miyazaki Univ. on February 12, 2009, 10:52 JST. This picture was taken by Pentax K100D super + super multi-coated Pentax FDA 100/2.8 Limited without any enhanced image processing of the inner digital engines. The photographic information is F = 11, 1/750 speed, ISO = 200 (lowest), sRGB space, and no filter.

このR成分の挙動のみが変化している物質に関しては、より多くの観測データを収集するばかりでなく、分光測定を含む物理化学的測定を行い、雲の構成物質を同定することが必要である。

4 まとめ

晴天はデジタル画像解析でどのようにとらえられるかを、オーストラリアのシドニー、日本の九州南東部(宮崎市)、美ヶ原(松本市)、及び関東東北部(水戸、土浦、つくば)そして都内(三軒茶屋)で撮影したデジタル画像を解析することによって明らかにすることを試みた。


Figure 21. R, G, B values along the yellow line shown in Figure 20.

雲一つ見られない晴天は、人間の眼で晴天に感じられる空であっても、デジタル画像のB/R比でみると場所による違いが見られ、デジタルカメラの感度の良さが確認された。デジタル画像のB/R比では宮崎市では3.9, 美ヶ原及び水戸では3.0に近い値となり、シドニーやつくばなどの平地では2.0以上の値を取ることが判った。都心(三軒茶屋)でも天頂付近は2.0を超えるが、地上に近づくにつれSPM濃度が高くなりすぐに白濁する。航空機から撮影した画像でも、天頂付近は2.0を超える値となる。大まかに言えば晴天のデジタル画像はカメラに依存するとはいえB/Rが2より大きく、G/RとB/Gがほぼ等しく、それぞれ1.5程度の値をもつということができる。
さらに航空機から撮影した画像では、対流圏と成層圏の境にSPMとおぼしき暗い雲が漂っていることがデジタル画像解析から判った。これは、R成分のみが変化している物質であるが、その詳細は不明である。宮崎でもR成分のみが変化している物質の存在が見られている。
今後の課題としては大気観測の観測密度を高めるために、我々の開発した方法をより簡単な操作で実行できる様にし、だれもがいつでもどこでも大気の観測が実行できる状況を作り出すことが必要である。従来法と新たな手法を組み合わせて、観測の量と質を高めていかなければならない。大気に関するスペクトル情報など、化学的情報が非常に少ない。化学の目で大気環境情報を収集解析することが必要である。

参考文献

[ 1] Tomoo AOYAMA, Jyunko KAMBE and Umpei NAGASHIMA, J. Comput. Chem. Jpn, 7, 185-200 (2008).
[ 2] Tomoo AOYAMA, Junko KAMBE, Umpei NAGASHIMA and Eiko NAKAYAMA, J. Comput. Chem. Jpn., 8, 13-22 (2009).
[ 3] Olympus E410,
http://olympus-imaging.jp/product/dslr/e410/
[ 4] Pentax *ist DS2,
http://www.pentax.jp/japan/imaging/digital/slr/ist-ds2/
[ 5] RICOH GX100,
http://www.ricoh.co.jp/dc/caplio/gx100/
[ 6] Pentax K100D super,
http://www.k100dsuper.jp/
[ 7] Home page of Japan Meteorological Agency, "Meteorological and Statistical Observation Data",
http://www.jma.go.jp/jma/index.html


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