2024年度表彰
日本コンピュータ化学会 2024年度 功労賞
【受賞者】
八木 徹 氏 江戸川大学 メディアコミュニケーション学部 情報文化学科 教授、博士(理学)
【受賞理由】
2025年2月6日に開催された日本コンピュータ化学会役員会で、2024年度の日本コンピュータ化学会功労賞を江戸川大学メディアコミュニケーション学部情報文化学科教授 八木 徹氏に授与することが満場一致で決まりました。
八木 徹氏は筑波大学大学院化学研究科博士課程を修了したのち、株式会社富士総合研究所、株式会社ベストシステムズなどを経て、江戸川大学メディアコミュニケーション学部情報文化学科に採用されました。八木 徹氏の研究内容は、量子モンテカルロ法における独自の計算モデルを構築しようとするものです。
[本会への功績]本功労賞は、八木 徹氏が本会に長年果たして来られた多大な功績に対するものであります。
八木 徹氏は、現在、江戸川大学メディアコミュニケーション学部長としてご多忙であるにもかかわらず、長年に渡って日本コンピュータ化学会のホームページの編集を一手に引き受けていただきました。特に、春季年会のWebページや会告の他、各種フォームやDBなどのシステムを適宜改修しながら運用されてきました。
こうしたボランティアによる広報活動は、本会の発展に多大なる貢献をしたものと認めます。
日本コンピュータ科学会は、八木 徹氏のご尽力に感謝するともに、ここに功労賞を授与することに決定いたしました。
(文責:会長 河村雄行)
日本コンピュータ化学会 2024年度 吉田賞(論文賞)
【受賞論文】
Reconstruction of Four-Body Statistical Pseudopotential for Protein-Peptide Docking
タンパク質-ペプチドドッキングのための4体統計的擬ポテンシャルの再構築
山本 妙, 五十幡 康弘, 後藤 仁志
Journal of Computer Chemistry, Japan - International Edition, Vol. 10(2024), pp.1-6
【受賞理由】
材料の構成元素の数が増えると、その熱力学的安定性に対する配置エントロピーの影響が大きくなるが、扱わなければならない配置の数が膨大であるため、従来の手法ではその評価は困難であった。
本論文では、多元素材料に対して、膨大な配置から安定な配置を導出する手法を実装した。実装された手法では、密度汎関数理論計算と機械学習からエネルギーの回帰式が作成され、Wang-Landauアルゴリズムによるサンプリングに利用される。これによって、膨大な配置を扱い、配置エントロピーが考慮された熱力学的安定な配置を評価することができる。例として、合金のバルクモデルおよびナノ粒子モデルに適用し、その安定配置の特徴について議論している。実装された手法では、エネルギーの回帰式が得られれば安定な配置を明らかにすることができるので、様々な多元素材料への応用が期待される。
以上のような試みを通じたコンピュータ化学への貢献に対し「日本コンピュータ化学会」は、吉田賞論文として表彰することを決定した。
(文責:会長 河村雄行)