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2014年度表彰

2015年5月29日 表彰

2014年度

日本コンピュータ化学会  表  彰
SCCJ Award of the Year 2014

[ 学会賞 | 功労賞(特別功労賞) | 吉田賞(論文賞) ]

日本コンピュータ化学会 2014年度 学会賞
【受賞者】

久保 百司 氏 東北大学 大学院 工学研究科 教授

【受賞理由】

 2015年1月31日に開催された日本コンピュータ化学会役員会で、本年度の日本コンピュータ化学会学会賞を、東北大学大学院工学研究科教授の久保百司氏に授与することが満場一致で決まりました。ここに同氏の経歴と推薦理由を記します。
 久保百司氏は平成4年3月に京都大学大学院工学研究科石油化学専攻修士課程を修了された後、平成4年6月東北大学大学院工学研究科化学工学専攻博士課程を中途退学、助手となられ、平成11年に博士(工学)を取得されました。平成13年東北大学大学院工学研究科材料化学専攻助教授に昇進され、平成20年東北大学大学院工学研究科附属エネルギー安全科学国際研究センター教授となられました。さらに平成27年3月からは、東北大学金属材料研究所教授になられることが決まっており、一層のご活躍が期待されております。
 久保百司氏は、超精密化、超小型化が急速に進む近年のシステム技術・材料技術は、「化学反応」と「摩擦、衝撃、応力、流体、光、電子、熱、電場」などが複雑に絡みあったマルチフィジックス現象であることにいち早く着目し、従来の連続体力学に基づくマルチフィジックスシミュレーションではなく、量子化学に基づくマルチフィジックスシミュレーション技術の開発を目的とした研究を行っておられます。具体的には、開発した第一原理分子動力学法とTight-Binding量子分子動力学法に基づくマルチフィジックスシミュレータを用いて、燃料電池、太陽電池、トライボロジー、エレクトロニクス、マイクロマシン、電気自動車、航空・宇宙機器、クリーンエネルギー、発電プラント、水素ステーションなどエネルギー・環境に係わる広範囲な研究分野における、大規模・高精度分子シミュレーション手法の開発に対し、多くの重要な貢献をされています。
 また久保百司氏は電子・原子レベルの第一原理分子動力学シミュレーション、Tight-Binding量子分子動力学シミュレーションから、粗視化分子動力学シミュレーション、さらにはマクロスケールの連続体力学シミュレーションまでの幅広いシミュレーション技術を融合したマルチスケールシミュレーション技術の開発を推進されています。これにより、従来は不可能であった電子・原子スケールからμメートル・メートルスケールまでの幅広いスケールでの統合的なシステム設計・材料設計の実現を可能としています。さらに、これら研究成果をエネルギー問題・環境問題の解決、安全・安心社会の実現、さらには日本発の産業創出のために幅広く展開されています。
 以上のような久保百司氏の計算化学に対する貢献に対し「日本コンピュータ化学会」は、ここに久保百司氏を本会の学会賞の受賞者とすることに決定致しました。

(文責:会長 細矢治夫)

日本コンピュータ化学会 2014年度 吉田賞(論文賞)
【受賞論文】

大規模・高精度相対論的量子化学計算手法の開発:元素戦略の理論基盤確立を目指して

清野 淳司1, 中井 浩巳1,2,3,4

1) 早稲田大学先進理工学部化学・生命化学科, 〒169-8555 東京都新宿区大久保3-4-1 2) 早稲田大学理工学研究所,〒169-8555 東京都新宿区大久保3-4-1 3) 科学技術振興機構 (JST) 戦略的創造推進事業 (CREST), 〒332-0012 埼玉県川口市本町4-1-8 4) 京都大学 触媒・電池元素戦略ユニット, 〒615-8520 京都市西京区京都大学桂

Journal of Computer Chemistry, Japan, Vol. 13(2014), No. 1, pp.1-17.

【受賞理由】

 本論文は,重元素を持つ大規模な化合物を高効率・高精度に計算することを目標に、まず重元素を取り扱う際に必須な相対論的量子化学の現状を概観し,さらに目標遂行のための問題点を明らかにしている。これらの問題点に対し,著者らが開発した高効率・高精度な2成分相対論計算手法,無限次Douglas-Kroll-Hess変換に基づく局所ユニタリー変換法の理論について解説し,数値的に新たな理論の有用性を示している.また、本手法を分割統治法へと拡張することにより,計算全体の線形スケーリングを達成する手法となることを示した。本手法を用いれば、現在世界中で広く行われている非相対論的量子化学計算と同等の計算コストで (スピン非依存の) 4成分相対論計算と同程度の精度を与えることができる。そのため従来の非相対論的なSchrödinger方程式から相対論的なDirac方程式へのパラダイムシフトが可能となることを強く示唆している.
 大規模・高精度相対論的量子化学計算のさらなる発展を期して本論文を吉田賞論文として推薦する。

(文責:会長 細矢治夫)

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