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三年間の活動を振り返る

日本コンピュータ化学会会長 細矢 治夫

(2005年3月15日 会告Vol.4, No.1)

日本コンピュータ化学会の発足から満三年が経った。この場を借りてこの三年間の本会の活動実績と現況のファクトを報告する。そして本会を盛りたてて頂いた方々にお礼を述べるとともに、今後の本会の発展のために会員諸氏の一層の御協力を仰ぎたい。

日本化学プログラム交換機構と化学ソフトウエア学会が合併する前には、どれだけの方々がこの新しい会に参加して頂けるか、関係者一同大変心配した。しかし2005年1月12日現在で、個人会員761名、学生会員29名、法人会員70社、賛助会員19口が本会を支えている。法人関係が多いのは、前身の両機関をそれぞれほとんど独力で支えて来られた、田辺和俊、吉村忠与志両氏の御努力の賜物である。個人正会員の数は関係者の最初の予想を上回っているが、学生会員の掘り起こしについては会員諸氏の一層の御協力を仰ぎたい。もう一回り大きいことが、学会の安定運営のために必要なことは御理解頂けるであろう。

この三年間の実績を形として如実に表しているものが、春秋年会の合計6冊の講演予稿集と12册のJCCJ(Journal of Computer Chemistry, Japan)である。積み上げただけでも8㎝に近く、書棚の中で存在感を誇っている。

6回の年会で、合計14の特別あるいは招待講演、93の口頭発表、168のポスター発表、117のデモンストレーションが行われた。趣向は異なるが、春秋2回の年会を続けて開催しているということはこの規模の学会としては異例のアクティビティの高さである。河村雄行理事の御努力で、昨年から毎年東工大で春の年会を定例化することができた。秋季年会は、工藤喜弘氏が米沢の山形大工学部で、松浦博厚、吉田弘(理事)、相田美砂子氏等が広島大学で、船津公人理事が東京大で、それぞれ中心となって開催された。本年1月に若くして逝かれた吉田弘氏のことは、本会として大きな痛手である。なお、長嶋雲兵事務局長と曽々木志穂さんは全ての年会に深く関与しておられる。この他の協力者に対しても厚く御礼を申し上げる。今年の秋の実行委員長には徳島大の中馬寛氏が決まっている。また、これまでの年会の際に合計4名の方に学会として賞を授与することができた。

 

JCCPには合計55報の論文を印刷公表した。なお最初の2号はThe Journal of Chemical Softwareとの合併号なので、更に9報の論文を収録してある。現在掲載待ちの論文が多数控えているが、会員諸氏には奮って投稿をお願いしたい。編集長は時田澄男理事であるが、これまでに2号ゲストエディターを招いて特集号を出した。藤田眞作氏は、海外から多くの執筆者を集めて "Mathematical and Computational Aspects of Chemistry─Groups, Graphs, and Structures" という大変ユニークな特集号を組んで頂いた。これらの論文は全て、中野英彦理事の御努力で、科学技術振興機構のJ-Stage を通して電子ジャーナル化され、海外の研究者からの注目を集めている。最近、電子ジャーナルの世界的傾向として「オープンアクセス」化が進められているが、本会のスタンスは時代の先駆けを行くものであったと関係者は自画自賛している。本誌編集の裏方である中村恵子氏にも謝辞を捧げる。

最後に、事務局の"大家さん"であるベストシステムズの西克也氏にも深く感謝を申し上げたい。

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