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十年を迎える本会の活動

日本コンピュータ化学会 会長 細矢 治夫

(2009年12月15日 会告Vol.8, No.4)

日本コンピュータ化学会は,日本化学プログラム交換機構(JCPE)と化学ソフトウエア学会(CSSJ)が2002年1月1日に合併発足した.会員諸氏の御努力と御支持のお陰で,2011年の5月には十周年記念の行事を行うところまで漕ぎ着けることができた.更には,会員数の減少と財政苦境と闘いながらここまで来られた裏には,長嶋,後藤の新旧事務局長,時田,太刀川新旧編集長と中村さん,電子ジャーナルを支えてくれた姫路工大の中野教授,年会毎に多数の発表を出していただいた東北大の宮本,久保両教授,毎年春季年会の世話を毎年続けられている東工大の河村教授,及びベストシステム,特に曽々木,和多田新旧事務局員等の方々の惜しみない頑張りがあったからこそだと感謝している次第である.

さて,理論化学,計算化学,情報化学を中心とする分野において,現在は,日本化学会情報化学部会,分子科学会,理論化学研究会,CBI学会等が,それぞれ独自の学会活動を続けているので,本会会員諸氏のみならず,関係学会に所属している方々にとって,毎年自分の研究発表をどのように振り分けたり,各学会にどのように参加したりするかで,いろいろな苦労をされているはずである.冒頭にあるJCPEとCSSJの合併もその解決策の一つとして行われたものであるが,その後の動きは現在少なくとも表面には出て来ていない.

この問題に関しては,ここではずるく目をつぶることにする.その代わりに,このような状況の中にありながら,本会が自慢できることがたくさんあるので,そのことを話題にしたい.

先ず,こんなに小さな学会なのに,毎年欠かさず春秋の2回の年会を開催していることである.更に,論文誌Journal of Computer Chemistry, Japan (JCCJ) も年に4,5册刊行を続けて,内外から多くの引き合いがある.

少し違う観点から見ると,本会は色々な研究者を encourage しているという事実である.先ず,シニアの人に会費等についての割引制度を設けている.かく申す私もその恩恵にあずかっている.また,若い研究者を奨励する論文賞も設けている.各分野の専門家がぎすぎすと新参者や素人の仕事にいちゃもんをつけるのが世の常であるが,本会は,その点大きな目で研究者の育成と鼓舞に力を入れている.特に,若い人に対する表彰制度が多くの優れた人材の芽を育てて来たという自負がある.

また,シニア,初心者,若手に甘いということは,本会の発表のレベルを下げることには繋がっていない.他の学会ではなかなか聞くことのできない分野の研究発表の割合が非常に高いことも本会の大きな特徴の一つであることは,会員諸氏も身をもって認識していただいているであろう.科学の幅広い分野から招いた一流の方々に特別講演をしていただくことも,学会のレベルアップとスペクトルの拡大に大きく貢献している.

今年の秋季年会においても,参加者に大きなインパクトを与えた特別講演に限らず,二日間活発な質疑応答が繰り広げられたことが,上のことを実証している.

関係学会との競合や協調に向けて,今後色々な動きが出て来るかも知れないが,われわれ役員一同としては,とにかく十周年記念行事を無事に迎えることを第一目標として頑張って行く積もりなので,会員諸氏の御協力を切にお願いする次第である.

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